インフラエンジニアの職務経歴書で採用側が知りたいのは、製品名の数ではありません。どの環境で、どの工程を、自分がどこまで担当し、何を作り、どんな結果になったかです。
「Cisco、Linux、AWSを経験」「ネットワークの設計構築を担当」とだけ書くと、監視か設定変更か、設計値を決めたのか、チームの仕事なのかが分かりません。採用側から評価される構成、項目、例文を、書類選考と面接の両方で使える形で示します。
仕事内容と担当工程の違いは、インフラエンジニア転職の総合ガイドで確認できます。本記事では、それを職務要約、案件欄、スキル欄、自己PRへ落とす方法に絞ります。
職務経歴書の全体構成
- 職務要約
経験年数、主な領域、担当工程、強みを4〜6行でまとめます。 - 活かせる経験・スキル
技術だけでなく、設定、試験、障害、資料、調整を整理します。 - 職務経歴
会社・案件ごとに、環境、規模、役割、業務、成果物、結果を書きます。 - 資格・学習
取得済み、受験予定、個人検証を事実どおり分けます。 - 自己PR
応募先で再現できる強みを、一つか二つの事例で示します。
ページ数に絶対の正解はありません。経験者なら2〜4ページ程度に収めることが多いですが、ページ数を守るために担当範囲を削りすぎたり、逆に長い製品一覧で埋めたりしないでください。採用側が求人との一致を短時間で判断できることを優先します。
職務要約の書き方と例文
職務要約は、自分の経歴を時系列ですべて説明する場所ではありません。最も長い経験、担当できる工程、次の求人で使える強みを先に書きます。
例文:
インフラ運用・構築を4年間経験しています。Linuxサーバー約40台の監視、障害一次切り分け、月次パッチ、アカウント管理を担当し、直近1年は新規サーバーの詳細設計補助、構築手順作成、単体・結合試験にも携わりました。障害時はログ、リソース、通信、直前変更を整理し、復旧後に手順と監視項目を見直しています。今後はLinux・クラウド基盤の構築と試験を中心に担当したいと考えています。
この例では、年数、対象、運用の範囲、構築経験、障害時の行動、次の方向が分かります。実際に行っていない「基本設計」や「クラウド構築」を足さないでください。
案件ごとに書く7項目
| 項目 | 書く内容 |
|---|---|
| 期間 | 年月。複数案件が重なる場合は兼務と分かるようにする |
| 概要 | 何のシステム・基盤か。守秘義務に配慮して業界と用途を簡潔に |
| 規模・体制 | 台数、拠点数、利用者数、チーム人数、自分の役割 |
| 技術環境 | 機器、OS、クラウド、ミドルウェア、管理ツール |
| 担当工程 | 監視、運用、変更、構築、試験、移行、設計のどこか |
| 業務・成果物 | 自分が行った作業と、作成・更新した資料 |
| 実績 | 品質、時間、件数、改善、障害復旧など、確認できる結果 |
案件名が機密の場合は、顧客名やシステム固有名詞を出さず、「金融業向け拠点ネットワーク運用」「自社EC基盤のLinuxサーバー運用」のように説明します。IPアドレス、アカウント、内部構成など、公開できない情報を載せません。
担当業務の悪い例と改善例
担当業務は、製品名と「担当」という言葉だけで終わらせず、対象、確認、変更、成果物まで書きます。ネットワーク、サーバー、クラウドの例を比べます。
ネットワーク運用
伝わりにくい例:「Cisco機器の運用保守を担当」
改善例:「約60拠点のルーター・スイッチ運用を担当。障害時はリンク、VLAN、ARP、経路、ACLの順に一次切り分けを行い、影響拠点と確認結果を整理して通信事業者・上位担当へ連携。月次変更では既存configとの差分確認、手順書更新、作業後の疎通確認を担当」
サーバー運用・構築
伝わりにくい例:「Linuxサーバーの構築・運用」
改善例:「Linuxサーバー約30台を対象に、アカウント管理、ログ・容量確認、月次パッチを担当。新規2台の構築では、設計済みパラメータを基にOS・Webサービスを設定し、構築手順の修正、単体試験、証跡取得を実施。パラメータ決定と本番承認はリーダーが担当」
クラウド
伝わりにくい例:「AWS(EC2、S3、RDS、CloudWatch)を使用」
改善例:「AWS上のWeb基盤運用で、CloudWatchアラートの一次調査、IAMロール変更、EC2パッチ、バックアップ確認を担当。Terraformの変更では既存コードの修正、plan差分確認、レビュー指摘の反映、検証環境への適用を実施」
改善例の数字や環境は説明用です。自分の実績へ置き換え、経験していない作業は書かないでください。
各職種で評価される担当範囲は、ネットワーク、サーバー、クラウドの各転職ガイドで確認できます。
チームの成果と自分の担当を分ける
インフラの仕事はチームで行うため、「大規模更改を成功させた」と書くだけでは自分の役割が分かりません。案件全体と担当業務を分けます。
案件全体:本社・50拠点のネットワーク更改。設計、構築、現地切替を10名で実施。
自分の担当:10拠点分の現行config調査、詳細パラメータ、config作成、単体試験、本番手順の作成を担当。基本設計と切替判断はプロジェクトリーダーが担当。
この書き方なら、規模のある案件へ参加したことと、自分へ任せられた工程を同時に伝えられます。面接で深掘りされても説明がぶれません。
実績は数字がなくても書ける
売上のような数字がなくても、インフラの成果は書けます。無理に「○%改善」を作らず、確認できる変化を使います。
- 手作業の確認をスクリプト化し、月次作業を120分から30分へ短縮
- 障害チケットの必須項目を整理し、上位担当からの差し戻しを減らした
- パッチ手順へ中止条件とサービス確認を追加し、チーム標準へ反映
- 監視しきい値を見直し、利用者影響前に容量不足を検知できるようにした
- 構成図とIP台帳の差異を調査し、次回変更前に現行情報を更新
数字を使う場合は、測定期間と自分の寄与を説明できるものにします。「障害ゼロ」を自分一人の成果にしないでください。
スキル欄はレベルが分かるように書く
製品名だけを箇条書きにせず、何ができるかを添えます。
| 技術 | 経験の書き方 |
|---|---|
| Cisco IOS | 既存config確認、VLAN・スタティックルート・ACL変更、手順・疎通試験を実務で担当 |
| Linux | ユーザー・権限、systemd、ログ、パッチ、Webサービスの運用。構築は設計済み手順を基に担当 |
| AWS | EC2・IAM・監視の運用変更を実務で担当。VPC設計とRDSは個人検証 |
| Terraform | 既存モジュールの変数・リソース修正、plan確認、レビュー反映。新規設計は未経験 |
「触ったことがある」を実務レベルに見せないことが大切です。実務、個人検証、研修・学習を分けると、採用側は配属後の教育範囲を判断しやすくなります。
資格と個人検証の書き分けは、インフラ転職で資格を生かす方法も参照してください。
自己PRは性格ではなく、仕事の再現性を書く
自己PR例:
障害時に、事実と仮説を分けて記録することを大切にしています。拠点の通信障害では、利用者情報だけで機器故障と判断せず、影響範囲、発生時刻、物理リンク、VLAN、経路を順に確認しました。結果として回線側の問題と切り分け、確認結果を添えて事業者へ連携できました。復旧後は、同じ確認順を手順書へ反映しました。貴社のネットワーク運用でも、一次切り分けと記録の品質を安定させ、設定変更・構築へ担当を広げたいと考えています。
「責任感があります」「コミュニケーションが得意です」だけでは、仕事での行動が分かりません。一つの事例と、応募先での使い方をつなげます。
未経験者の職務経歴書
IT未経験でも、前職の経験を削る必要はありません。インフラの仕事で再現できる形へ具体化します。
- 接客・コールセンター:状況の聞き取り、記録、優先順位、エスカレーション
- 製造・保守:手順遵守、変更前後の確認、異常報告、安全管理
- 事務:正確な台帳、権限申請、複数部署との日程・情報調整
- 営業:顧客要件の確認、制約説明、進捗管理、関係者調整
学習欄には、「CCNA取得」だけでなく、「Packet TracerでVLAN間ルーティングとACLを構成。正常・拒否通信の試験、戻り経路誤りの切り分けを記録」のように検証内容を書きます。個人検証は実務とは明記して分けます。
IT実務がない場合の応募順と前職経験の変換は、未経験からインフラエンジニアへ転職する方法で確認できます。
提出前のチェックリスト
- 冒頭だけで経験年数、領域、担当工程が分かる
- 各案件に自分の役割と成果物がある
- 製品名の横に、実施した動詞がある
- チーム全体と自分の担当を分けている
- 実務、個人検証、学習を分けている
- 数字の根拠と自分の寄与を説明できる
- 社外秘、個人情報、内部IP、認証情報を含まない
- 求人で求める経験が、前半で見つかる
- 面接で全項目を自分の言葉で説明できる
- 誤字、年月、表記、PDF表示を確認した
厚生労働省のジョブ・カードにも、職務経歴、職業能力、学習歴などを整理する様式があります。自分の経験を初めて棚卸しする場合は、項目の参考にできます。提出先の指定様式がある場合はそちらを優先してください。
参考:厚生労働省「マイジョブ・カード」(2026年8月確認)
完成後は、インフラエンジニア転職の面接対策を使い、書いた案件を状況、役割、判断、行動、結果の順で説明できるか確認してください。転職準備全体の順序は転職ロードマップにまとめています。
まとめ
インフラエンジニアの職務経歴書は、環境、規模、担当工程、自分の判断、成果物、結果を案件ごとに書きます。製品名や経験年数だけで終わらせず、チームの仕事と自分の仕事、実務と個人検証を分けてください。
まず直近の案件を一つ選び、「何を対象に」「どこからどこまで担当し」「何を作り」「何を確認して完了したか」を4行で書いてみてください。その4行を具体化すれば、採用側が入社後に任せられる仕事を判断できる職務経歴書になります。
原本を作ったら、現在のインフラ系求人を見て、求人ごとに必要な経験が前半で見つかるよう順序を調整してください。
