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ネットワークの基本設計と詳細設計の違い|成果物を具体例で解説

動画と記事で学ぶ / 設計・構築

基本設計と詳細設計を未経験者向けに解説。営業PCからWebアプリへつなぐ例で、要件・方式・具体的な値・試験を追い、資料と担当の違いを説明します。

ここからは、記事でゆっくり確かめましょう。図や操作の例を見ながら、気になるところから読み進めてください。

基本設計にも詳細設計にもIPやVLANの話が出てくるので、資料名だけで分けようとすると迷います。違いは、そこで何を決め、次の担当へ何を渡すかにあります。

営業PCから社内アプリを使う例を、要件、構成、設定値、試験へつなげます。CCNAで学ぶコマンドが、設計のどんな判断から生まれるかを見ていきましょう。図と数値は説明用です。

VLAN81の営業端末とL2スイッチ、両網のゲートウェイとなるFW、VLAN92のL2スイッチとアプリサーバーの論理構成図
論理構成図:VLAN81とVLAN92をFWで接続し、網間通信を制御します。基本設計で決める方式と、詳細設計で決める値を同じ構成で読み分けます。 タップで拡大できます。IP・数値は説明用です。

基本設計は方針、詳細設計は値を決める

基本設計では、要件を満たす構成や方式を選びます。「端末とサーバーを別LANにし、FWで間の通信を制御する」は、その方針です。なぜその形にするかまで説明します。

詳細設計では、その方針を実装できる値へ具体化します。どの機器のどの口にIPを入れ、どのVLANへつなぎ、何を許可するかをそろえます。構築する人が値を取り違えず作業できる資料へ進めるわけです。

用語の補足:成果物って何?

その工程の仕事として作り、次の担当へ渡す資料などです。構成図、IP表、手順、試験結果が例です。資料のタイトルだけでなく、読む人が何を判断・作業できるかを考えます。

観点 基本設計 詳細設計
主な判断 どの構成・方式で要件を満たすか 機器や環境にどう設定するか
ネットワーク分割 利用端末網とサーバー網を分離する理由 VLAN ID、サブネット、接続ポート
通信制御 どこで何の通信を制御するか 送信元・宛先、プロトコル、ポート、ルール順序
可用性 止められる時間と冗長化方式 監視条件、切替条件、タイマー、確認方法
運用 誰が何を監視し、どう変更するか 監視項目、通知先、ログ、バックアップの設定

同じIPの項目でも、アドレスを分ける方針の話と、接続口へ入れる個々の値の話では粒度が違います。案件ごとに資料の分け方は変わるので、名称だけでなく、何を判断・作業できる内容かを見ます。

成果物は、仕事で作って次へ渡す資料などです。構成図や設定表は、作成しただけで完了するものではありません。次の担当が、その資料から構築や試験へ進めるかが、内容を考える目安になります。

出発点は「営業PCから、このアプリを使える」

今回の出発点は、営業端末網から指定アプリのHTTPSを使えることです。NW-APP-01というIDを付け、設計や試験でも同じ条件を参照します。後でどの要件のための設定かを探せます。

PCは172.27.81.15/24、サーバーは172.27.92.25/24。この例のアプリ通信はTCP/443です。対象外のアプリ用ポートは許可しない、という条件も一緒に書きます。

ただし、Web画面を使うためにHTTPS以外の通信が必要な場合もあります。名前解決のDNS、認証、管理、更新などがあれば、それぞれの対象と条件を別要件で確認します。

ここで条件をそろえず「Webだから443だけ」と進めると、設定は予定どおりでもアプリが使えないことがあります。使えるべき操作と、そのための通信を結び付けてから構成を選びます。

基本設計では、なぜこの構成かを説明する

図では、端末をVLAN81、サーバーをVLAN92へ分け、間をFWで制御します。機器の位置と接続に加え、端末網とサーバー網の許可条件を管理するためにこの形を選んだ、と理由を残します。

同じ網間通信でも、L3スイッチで中継する案などが考えられます。必要な制御、性能、費用、運用方法を比較し、要件と制約に合う方式を選びます。

基本設計の記載例 確認する理由
B-03:端末網とサーバー網を分離し、網間通信をFWで制御 業務通信の許可範囲を一か所で管理する
管理通信は業務通信と別の要件一覧で定義 利用者向けのルールへ管理権限を混ぜない
必要なログを取得し、運用担当が確認できる方法を決める 許可・拒否の結果と障害時の調査方法をそろえる

表のB-03は、その基本設計の記載例です。管理通信を別にすることや、調査に必要なログを取得する方針も、使える状態を維持するための設計につながります。

構成図だけでは、別案を選ばなかった理由までは伝わりません。条件が変わったとき、次の担当が「この理由なら見直しが必要」と判断できるよう、採用理由を文章でも残します。

詳細設計では、機器と接続口まで値をそろえる

端末網のGWを172.27.81.1、サーバー網のGWを172.27.92.1と決めたら、FWのどの接続口へ入れるかまで対応させます。IPの一覧だけでは、作業する対象がまだ決まりません。

L2スイッチでは、端末やサーバーをどの口のどのVLANへ収容するかを整理します。通信条件のP-12は、端末網から対象サーバーのTCP/443を許可する設定へつながります。

項目 この例の値・条件
VLAN81 / 端末網 172.27.81.0/24、FW側GWは172.27.81.1
VLAN92 / サーバー網 172.27.92.0/24、FW側GWは172.27.92.1
対象サーバー 172.27.92.25/24、GWは172.27.92.1
P-12:アプリ通信 端末網→172.27.92.25、TCP、宛先443を許可
対象外通信 アプリへの対象外ポートを拒否。既存ルールとの順序・重複を確認
接続と証跡 機器名、インターフェイス、VLANの収容、設定確認コマンドを記載

FWにはゾーン、アドレスオブジェクト、ルールの順序、応答を追う機能、ログなど製品固有の項目があります。表は整理の入口であり、このまま投入できるconfigという意味ではありません。対象製品へ具体化して整合性を見ます。

既存環境なら、資料と現行設定、配線が一致するかも調べます。古いIP表をそのまま前提にすると、正しく作った新しい表でも実機と合いません。差がある場合は、変更履歴と運用の実態へ戻ります。

試験では、通す通信と止める通信を確かめる

設定が表どおりでも、要件を満たしたとはまだ言えません。営業PCから指定の画面を使えるか、許可対象外の通信を意図した場所で止められるかを試します。

T-01はアプリ利用、T-02は対象外ポートの拒否です。期待結果は試験前に決める合格条件。証跡は実際の結果を後から確かめる画面やログです。何を成功とするかを、実施後に都合よく変えないために先に書きます。

用語の補足:期待結果と証跡の違いは?

期待結果は、試験の前に決めておく「こうなれば合格」という結果です。証跡は、実際にどうなったかを後から確認できる画面やログなどです。

試験ID 試験内容 期待結果・証跡
T-01 営業端末から指定アプリのHTTPSを使用 対象画面が正常に利用できる。端末とFWの確認結果を保存
T-02 同じ端末から対象外のアプリ用ポートへ接続を試す 要件どおり拒否される。FWのログ・ルール該当を確認
T-03 管理用通信を指定の管理端末から確認 別途合意した管理要件に従って判定

TCP接続の成功と、アプリ画面の操作完了は別に見ます。拒否試験も、失敗しただけでなく、意図したFWルールで拒否されたかを照合します。サービスが停止していた失敗を、FWの制御成功と取り違えないためです。

端末、時刻、設定の版、期待結果、実結果をそろえると、想定と違った際に比較できます。要件IDを設計と試験へ引き継いだ意味は、この結果の対応を追えることにあります。

変更したら、関連する図・表・試験も直す

アプリのポートが変わったら、FWだけを直して終えると古い試験書が残ります。NW-APP-01から基本設計、P-12の設定、試験へ対応をたどり、影響する資料と手順を直します。

まだ決まっていない値は、仮だと分かるようにし、回答者と期限を付けます。正式な値と混ざると、構築担当がそのまま投入してしまう可能性があります。

  • 要件を満たす構成と、採用理由が説明できる。
  • 構成図、IP表、接続表、FWルールの値が一致している。
  • 未決事項に担当者と期限があり、仮の値が本番へ紛れない。
  • 構築・試験・運用の担当が、自分の作業へ引き継げる。

変更手順には、進めてよい結果と、止めて元へ戻す条件も必要です。切り戻しは変更前へ戻す対応です。図や表がそろっていても、失敗時の判断が曖昧なら本番の作業計画は完成しません。

個人検証でも、目的、採用理由、設定値、試験を一組にしてみてください。一つの通信をこの順で説明できれば、設計書の名前だけより、学んだIPやVLANが仕事のどこで使われるかを理解できます。

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