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基本設計と詳細設計を未経験者向けに解説。営業PCからWebアプリへつなぐ例で、要件・方式・具体的な値・試験を追い、資料と担当の違いを説明します。
ここからは、記事でゆっくり確かめましょう。図や操作の例を見ながら、気になるところから読み進めてください。
基本設計にも詳細設計にもIPやVLANの話が出てくるので、資料名だけで分けようとすると迷います。違いは、そこで何を決め、次の担当へ何を渡すかにあります。
営業PCから社内アプリを使う例を、要件、構成、設定値、試験へつなげます。CCNAで学ぶコマンドが、設計のどんな判断から生まれるかを見ていきましょう。図と数値は説明用です。

基本設計は方針、詳細設計は値を決める
基本設計では、要件を満たす構成や方式を選びます。「端末とサーバーを別LANにし、FWで間の通信を制御する」は、その方針です。なぜその形にするかまで説明します。
詳細設計では、その方針を実装できる値へ具体化します。どの機器のどの口にIPを入れ、どのVLANへつなぎ、何を許可するかをそろえます。構築する人が値を取り違えず作業できる資料へ進めるわけです。
用語の補足:成果物って何?
その工程の仕事として作り、次の担当へ渡す資料などです。構成図、IP表、手順、試験結果が例です。資料のタイトルだけでなく、読む人が何を判断・作業できるかを考えます。
| 観点 | 基本設計 | 詳細設計 |
|---|---|---|
| 主な判断 | どの構成・方式で要件を満たすか | 機器や環境にどう設定するか |
| ネットワーク分割 | 利用端末網とサーバー網を分離する理由 | VLAN ID、サブネット、接続ポート |
| 通信制御 | どこで何の通信を制御するか | 送信元・宛先、プロトコル、ポート、ルール順序 |
| 可用性 | 止められる時間と冗長化方式 | 監視条件、切替条件、タイマー、確認方法 |
| 運用 | 誰が何を監視し、どう変更するか | 監視項目、通知先、ログ、バックアップの設定 |
同じIPの項目でも、アドレスを分ける方針の話と、接続口へ入れる個々の値の話では粒度が違います。案件ごとに資料の分け方は変わるので、名称だけでなく、何を判断・作業できる内容かを見ます。
成果物は、仕事で作って次へ渡す資料などです。構成図や設定表は、作成しただけで完了するものではありません。次の担当が、その資料から構築や試験へ進めるかが、内容を考える目安になります。
出発点は「営業PCから、このアプリを使える」
今回の出発点は、営業端末網から指定アプリのHTTPSを使えることです。NW-APP-01というIDを付け、設計や試験でも同じ条件を参照します。後でどの要件のための設定かを探せます。
PCは172.27.81.15/24、サーバーは172.27.92.25/24。この例のアプリ通信はTCP/443です。対象外のアプリ用ポートは許可しない、という条件も一緒に書きます。
ただし、Web画面を使うためにHTTPS以外の通信が必要な場合もあります。名前解決のDNS、認証、管理、更新などがあれば、それぞれの対象と条件を別要件で確認します。
ここで条件をそろえず「Webだから443だけ」と進めると、設定は予定どおりでもアプリが使えないことがあります。使えるべき操作と、そのための通信を結び付けてから構成を選びます。
基本設計では、なぜこの構成かを説明する
図では、端末をVLAN81、サーバーをVLAN92へ分け、間をFWで制御します。機器の位置と接続に加え、端末網とサーバー網の許可条件を管理するためにこの形を選んだ、と理由を残します。
同じ網間通信でも、L3スイッチで中継する案などが考えられます。必要な制御、性能、費用、運用方法を比較し、要件と制約に合う方式を選びます。
| 基本設計の記載例 | 確認する理由 |
|---|---|
| B-03:端末網とサーバー網を分離し、網間通信をFWで制御 | 業務通信の許可範囲を一か所で管理する |
| 管理通信は業務通信と別の要件一覧で定義 | 利用者向けのルールへ管理権限を混ぜない |
| 必要なログを取得し、運用担当が確認できる方法を決める | 許可・拒否の結果と障害時の調査方法をそろえる |
表のB-03は、その基本設計の記載例です。管理通信を別にすることや、調査に必要なログを取得する方針も、使える状態を維持するための設計につながります。
構成図だけでは、別案を選ばなかった理由までは伝わりません。条件が変わったとき、次の担当が「この理由なら見直しが必要」と判断できるよう、採用理由を文章でも残します。
詳細設計では、機器と接続口まで値をそろえる
端末網のGWを172.27.81.1、サーバー網のGWを172.27.92.1と決めたら、FWのどの接続口へ入れるかまで対応させます。IPの一覧だけでは、作業する対象がまだ決まりません。
L2スイッチでは、端末やサーバーをどの口のどのVLANへ収容するかを整理します。通信条件のP-12は、端末網から対象サーバーのTCP/443を許可する設定へつながります。
| 項目 | この例の値・条件 |
|---|---|
| VLAN81 / 端末網 | 172.27.81.0/24、FW側GWは172.27.81.1 |
| VLAN92 / サーバー網 | 172.27.92.0/24、FW側GWは172.27.92.1 |
| 対象サーバー | 172.27.92.25/24、GWは172.27.92.1 |
| P-12:アプリ通信 | 端末網→172.27.92.25、TCP、宛先443を許可 |
| 対象外通信 | アプリへの対象外ポートを拒否。既存ルールとの順序・重複を確認 |
| 接続と証跡 | 機器名、インターフェイス、VLANの収容、設定確認コマンドを記載 |
FWにはゾーン、アドレスオブジェクト、ルールの順序、応答を追う機能、ログなど製品固有の項目があります。表は整理の入口であり、このまま投入できるconfigという意味ではありません。対象製品へ具体化して整合性を見ます。
既存環境なら、資料と現行設定、配線が一致するかも調べます。古いIP表をそのまま前提にすると、正しく作った新しい表でも実機と合いません。差がある場合は、変更履歴と運用の実態へ戻ります。
試験では、通す通信と止める通信を確かめる
設定が表どおりでも、要件を満たしたとはまだ言えません。営業PCから指定の画面を使えるか、許可対象外の通信を意図した場所で止められるかを試します。
T-01はアプリ利用、T-02は対象外ポートの拒否です。期待結果は試験前に決める合格条件。証跡は実際の結果を後から確かめる画面やログです。何を成功とするかを、実施後に都合よく変えないために先に書きます。
用語の補足:期待結果と証跡の違いは?
期待結果は、試験の前に決めておく「こうなれば合格」という結果です。証跡は、実際にどうなったかを後から確認できる画面やログなどです。
| 試験ID | 試験内容 | 期待結果・証跡 |
|---|---|---|
| T-01 | 営業端末から指定アプリのHTTPSを使用 | 対象画面が正常に利用できる。端末とFWの確認結果を保存 |
| T-02 | 同じ端末から対象外のアプリ用ポートへ接続を試す | 要件どおり拒否される。FWのログ・ルール該当を確認 |
| T-03 | 管理用通信を指定の管理端末から確認 | 別途合意した管理要件に従って判定 |
TCP接続の成功と、アプリ画面の操作完了は別に見ます。拒否試験も、失敗しただけでなく、意図したFWルールで拒否されたかを照合します。サービスが停止していた失敗を、FWの制御成功と取り違えないためです。
端末、時刻、設定の版、期待結果、実結果をそろえると、想定と違った際に比較できます。要件IDを設計と試験へ引き継いだ意味は、この結果の対応を追えることにあります。
変更したら、関連する図・表・試験も直す
アプリのポートが変わったら、FWだけを直して終えると古い試験書が残ります。NW-APP-01から基本設計、P-12の設定、試験へ対応をたどり、影響する資料と手順を直します。
まだ決まっていない値は、仮だと分かるようにし、回答者と期限を付けます。正式な値と混ざると、構築担当がそのまま投入してしまう可能性があります。
- 要件を満たす構成と、採用理由が説明できる。
- 構成図、IP表、接続表、FWルールの値が一致している。
- 未決事項に担当者と期限があり、仮の値が本番へ紛れない。
- 構築・試験・運用の担当が、自分の作業へ引き継げる。
変更手順には、進めてよい結果と、止めて元へ戻す条件も必要です。切り戻しは変更前へ戻す対応です。図や表がそろっていても、失敗時の判断が曖昧なら本番の作業計画は完成しません。
個人検証でも、目的、採用理由、設定値、試験を一組にしてみてください。一つの通信をこの順で説明できれば、設計書の名前だけより、学んだIPやVLANが仕事のどこで使われるかを理解できます。
