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ネットワーク要件定義とは?仕事内容・ヒアリング項目・成果物

動画と記事で学ぶ / 設計・構築

ネットワーク要件定義を未経験者向けに説明。利用者への聞き方、速さ・停止条件の具体化、要件一覧の記入、未決事項、設計への引き継ぎを例で追います。

ここからは、記事でゆっくり確かめましょう。図や操作の例を見ながら、気になるところから読み進めてください。

「速くしたい」「止まらないようにしたい」。利用者の希望は、最初から設計できる数字で届くとは限りません。何の操作で困り、どんな状態なら業務を続けられるかを聞いて具体化します。

要件定義は、その条件を関係者と合意する工程です。営業PCから社内アプリを使う例で、聞き取りから一覧、未決事項、次の設計担当への引き継ぎまで見ていきます。

ネットワーク要件定義で利用者の希望を聞き取り、要件IDと条件、合意者、未決事項を整理し基本設計へ渡す流れ
要望を聞くだけでなく、条件・確認方法・合意者まで具体化して設計へ渡します。

要件は条件、基本設計は方式、詳細設計は値

要件定義で決めるのは、満たしたい条件です。基本設計はその条件を満たす構成や方式、詳細設計は実装する具体値へ進みます。「アプリを使える」から「FWで制御する」、そしてIPやルールへつながります。

要件には自由に変えられない制約も関わります。既存回線を使う、予算の上限がある、停止できる時間が限られる、といった条件で選べる構成は変わります。

用語の補足:要件と制約は、何が違う?

要件は満たしたい条件、制約は自由に変えられない条件です。既存回線を使う、停止できる時間が決まっている、予算に上限がある、などは構成を選ぶときの制約になります。

工程 主な問い 成果物の例
要件定義 業務で何を実現し、どの条件を満たすか 要件一覧、通信要件、制約、合意事項、未決事項
基本設計 その条件を、どの構成と方式で満たすか 構成図、ネットワーク分割、冗長化、制御・運用方式
詳細設計 その方式を、どの値で実装するか IP表、接続表、機器パラメータ、ルール、試験への対応

成果物は、次の担当へ渡す資料です。要件一覧、通信一覧、制約、合意した内容、未決事項を残すと、設計者が前提を読めます。口頭で共有したつもりの情報を、読める形へまとめる仕事でもあります。

既存の機種やIPが制約なら、この工程でも技術情報を調べます。ただし「機器を2台買う」と台数を決めただけでは、業務上どんな条件を満たしたいかは分かりません。目的と確認方法から具体化します。

利用者の困りごとと、今の構成を一緒に聞く

利用者には、困る操作や業務への影響を聞きます。情報システム部門には現行構成と運用、セキュリティ担当には許可や記録の条件を聞きます。一人の回答だけでは、必要な前提がそろわないことがあります。

誰が、どこから、何のアプリを、どの時間帯に使うかを押さえ、既存の図、設定、測定値と照合します。表は質問の抜けを防ぐための材料で、すべてを同じ相手へ読み上げる台本ではありません。

確認する領域 質問の例 集める根拠
利用者・拠点 誰が、どこから、何人で使いますか 利用者一覧、拠点一覧、稼働時間
通信・アプリ どの端末から、どのサービスを使いますか 接続先、認証方式、通信要件
性能・容量 遅くなる操作と時間帯はいつですか 測定値、同時利用、増加見込み
可用性 どの障害で、どの業務を何分止められますか 業務影響、停止許容、復旧手順
セキュリティ 許可する利用者と通信、管理権限は何ですか 社内方針、権限一覧、ログ要件
運用・保守 誰が監視・変更・復旧を行いますか 運用体制、連絡先、作業可能時間
移行 切替時間と、戻す判断はどうしますか 現行設定、移行対象、停止合意
制約・予算 回線、設置場所、調達、予算の制約はありますか 契約、電源・ラック、納期、予算枠

利用者は夜間も使いたくても、保守担当には停止時間が必要かもしれません。答えが違ったら、どちらかを設計者が推測で採用せず、業務への影響と制約を並べ、判断する人を決めます。

移行は新しい環境への切替、切り戻しはうまくいかなかった場合に元へ戻す対応です。作業できる時間に、戻す時間まで含められるかを聞くと、後の移行計画へつなげられます。

「速い」「止まらない」を、測れる言葉にする

「速い」なら、対象操作、現状の所要時間、利用人数や時間帯、目指す結果を聞きます。操作も測定条件も違う数字では、変更前後を比べられません。評価方法まで一緒に決めます。

「止まらない」なら、回線断、機器故障、保守停止のどれを想定するかを分けます。何の業務をどの程度止められるかによって、必要な対策と試験が変わります。

用語の補足:非機能要求って何?

何の機能を提供するかに加え、性能・可用性・運用などに求める条件です。「アプリを使える」だけでなく、どんな負荷・故障・保守の場面でも、どの程度使えればよいかを整理します。

曖昧な希望 聞き直す内容 合意する項目
速くしてほしい どの操作が、いつ、何秒かかっていますか 対象操作、測定条件、目標、評価方法
止めたくない 回線断・機器故障・保守停止のどれですか 対象障害、影響範囲、許容停止、復旧方法
安全にしたい 何を誰から守り、誰に利用を許可しますか 許可範囲、認証、ログ、例外
運用しやすく 誰が、どの時間帯に対応しますか 監視・通知・変更・復旧の分担

可用性は必要なときに使える性質です。機器や回線を複数用意する冗長化でも、切替後に何秒で使えるか、既存の接続が続くかは別の確認です。台数だけで業務への影響を言い切れません。

性能、可用性、運用などは非機能要求として整理します。IPAの非機能要求グレードは確認漏れを防ぐ参考になります。全部を最高にするより、業務への影響と費用・制約から必要な条件を合意します。

参考:IPA:要件定義・非機能要求に関する資料(2026年10月確認)

要件一覧には、確認方法も書く

要件一覧には、希望する条件と、満たしたかを確認する方法を書きます。NW-APP-01のようなIDを付けると、設計と試験でも同じ条件を参照できます。

「営業端末からアプリへ通信可能」だけより、代表端末で対象画面を使えること、対象外のポートは拒否されることなど、実施する操作と判定を示します。依頼した側も、この方法で結果を確認できます。

項目 説明用の記載例
要件ID NW-APP-01
業務目的・対象 営業端末から指定の社内アプリを利用する
条件 営業端末網から、アプリのHTTPS接続を許可する
対象外・依存 管理・DNS・認証等の通信は別要件で確認する
確認方法 代表端末でアプリ操作成功。対象外ポート拒否も確認
根拠・合意者 利用部門の確認結果と、業務・ネットワーク責任者の合意記録
状態 合意済み/確認待ちを区別し、確認待ちには担当と期限

下の例では、管理、DNS、認証の通信を別要件として扱います。一つのHTTPS条件に、まだ聞いていない必要通信を含めたつもりにならないためです。依存する条件も追える形に残します。

性能の数値には、単位、対象範囲、測定条件、判断者を付けます。未確定なら仮と書き、確定済みと区別します。数字が表に入っただけで正式な合意になるわけではありません。

決まっていない条件は、担当と期限を付ける

「利用人数は確認中」で止めると、誰が答えるかも、設計をいつ進められるかも分かりません。担当、期限、決まらない場合の影響を付けます。未決事項は、回答を得るための作業として管理します。

同時利用数は回線や機器の容量、停止可能時間は移行と切り戻し、通知の受け手は監視の設計に関わります。何が決まらないと何を決められないかを、表のように対応させます。

未決事項の例 必要な対応 影響
ピーク時の同時利用数 利用部門が実績と増加見込みを回答 回線・装置の容量検討
保守で停止できる時間 業務責任者が作業枠と停止を合意 移行計画と切り戻し時間
障害通知の受け手 運用責任者が時間帯別の担当を決定 監視・通知・保守の設計

先に進めるため仮値を使う場合も、その根拠と見直す時期を残します。仮値を確定値に見せると、後の担当がそのまま調達や構築へ進む可能性があります。

合意後の変更には、理由と費用、期限、設計、試験への影響を調べます。会議で話して終えるより、合意した版を更新して関係者へ渡すことで、次に使う条件をそろえられます。

次の設計担当へ、何を渡せば進められる?

次の担当が設計を始めるには、合意した要件だけでなく、制約と未決事項も必要です。現行の構成、通信、変更履歴と合わせ、どの版を誰が確認したかまで渡します。

下の一覧は、資料があるかだけでなく、その資料で次の判断ができるかを見るために使います。要件IDを設計と試験へ対応させる方法も決めておくと、実装後に条件を追えます。

  • 要件ごとに対象・条件・優先度・受入方法が分かる。
  • 現行構成、通信一覧、制約、変更履歴がそろっている。
  • 未決事項に担当者と期限、設計への影響が付いている。
  • 業務・運用・セキュリティの関係者が合意した版を特定できる。
  • 要件IDを設計・試験へ引き継ぐ方法が決まっている。

個人検証でも、最初に「PCから社内アプリを使う」「この操作ができれば成功」と書いてから図と設定を作れます。Pingが通っただけより、何の条件を確かめたかを説明しやすくなります。

仕事の経験を伝える際も、会議に出たことに加え、自分が何を聞き、どの条件を整理し、誰と合意して、どの資料へ残したかを示します。要件定義の仕事を、具体的な担当として伝える材料になります。

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