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L2スイッチはARPテーブルを持つ?L3機器・管理SVIとの違い

L2スイッチでshow arpを実行したら、ARP表が出てきた。L2はMACで転送するはずなのに、どうしてIPの表があるのでしょうか。

スイッチには、利用者のフレームを中継する仕事と、自分自身が管理通信を送受信する仕事があります。管理IPから通信するためのARP表があっても、利用者のVLAN間通信をルーティングしているとは限りません。二つの用途を図で分けて考えます。

利用者VLAN81のPC間転送と管理VLAN97のSVIからR1への通信を分けたL2スイッチの構成図
構成図:PC同士はVLAN81のMAC表、SW1自身の管理通信はVLAN97側のARPとGWを使います。 タップで拡大できます。数値と構成は説明用です。

利用者の転送と、自分の管理通信は別の仕事

PC-AからPC-Bへフレームを転送する場合、SW1はVLAN81のMAC表を使います。スイッチ自身の管理IPを宛先にした通信ではありません。

一方、SW1へSSHで入り、SW1からNTPやsyslogを送る場合は、装置自身がIP通信の当事者です。そのためのIP、ゲートウェイ、ARPが必要になることがあります。

場面 参照する情報 この例での役割
PC-AからPC-BへL2転送 VLAN81のMAC表 宛先MACが学習されたポートへ転送
SW1自身から管理先へIPv4通信 管理側の経路・ARP 同じリンク上の相手、またはGWのMACを解決
L3スイッチが別VLANへルーティング 宛先IPの経路と出力側の隣接情報 出力先を選び、次のリンクへ転送

管理専用ポートや管理VRFを持つ機種もあります。どの管理経路を使っているかは、対象機種と設定で確認します。

PC同士の通信では、PC自身がARPを行う

図のPC-AとPC-Bは172.27.81.0/24、VLAN81の同じLANです。PCは相手のMACをARPで調べ、SW1はそのフレームの宛先MACから出力ポートを選びます。

SW1の管理IP172.27.97.2は、別の管理VLAN97にあります。PC同士のL2転送の途中で、この管理IPがゲートウェイとして使われるわけではありません。

SW1の管理用ARPにPC-Bがないことだけで、PC同士も通信できないと判断しないでください。端末側のARP、VLAN81のMAC表、ポートの状態を確認します。

「どの端末が送る通信を調べているか」を最初に書くと、見るべき表を選びやすくなります。

管理SVIから別LANへ送るときは、管理GWを使う

管理VLAN97では、SW1が172.27.97.2、R1が172.27.97.1です。この例のSW1はIPルーティングを無効にしたL2動作なので、別ネットワークへの自身の通信はip default-gatewayでR1を指定します。

SW1はR1のMACをARPで調べ、管理フレームを渡します。R1から先へ経路があることは、別に必要です。

L2動作での管理設定例。対象機種の対応を確認します。

interface Vlan97
 ip address 172.27.97.2 255.255.255.0
 no shutdown
!
ip default-gateway 172.27.97.1

確認例
show ip interface brief
show running-config interface Vlan97
show ip arp 172.27.97.1

ip default-gatewayはSW1自身のための指定です。接続するPCのゲートウェイを設定するコマンドではありません。

ip routingが有効な装置では、その経路表やVRF、デフォルトルートを確認します。L2動作の設定例を、L3中継する装置へ無条件に当てはめないようにします。

管理SVIがdownなら、VLANとポートも確認する

SVIへIPとno shutdownを設定しただけで、必ずupになるとは限りません。多くのCatalystでは、対象VLANと、そのVLANに属する有効なポートの状態が関係します。

VLAN97があるか、必要なtrunkで許可されているか、STPで転送可能かを確認します。IPの値が正しくても、管理LANへの接続が成立していない場合があります。

確認すること 見落としやすい点
Vlan97の管理状態 shutdownされていないか
VLAN97の存在と状態 VLANが作成され、利用できるか
VLAN97を運ぶポート trunkで許可され、リンクと転送状態が正常か
SVIのup条件 一般的なautostateに加え、機種の例外や設定がないか
GWと管理制御 マスク・GW・ACL・VRFが目的の管理経路と一致するか

実際のSVIのup/down条件は対象機種の仕様へ合わせます。管理IPの設定だけを繰り返すより、VLANとリンクの表示を並べるほうが原因へ近づけます。

管理通信の障害と、利用者のL2通信の障害は、影響する範囲を分けて記録してください。

ARP表の有無ではなく、対象通信と設定から判断する

L2専用機、L3機能を持つがL2で使う機器、管理ポートを持つ機器では、表示できる情報が違います。「L2スイッチ」という呼び名だけでは、ARP表の有無を一律に決められません。

利用者の転送ならVLANとMAC、自身の管理通信なら管理IF・ARP・経路を確認します。VLAN間をルーティングしているかは、IPルーティングとSVIなどの設定を調べます。

利用者VLANの転送を確認
show mac address-table dynamic vlan 81
show interfaces switchport

管理通信を確認
show ip interface brief
show ip arp
show running-config | include ip routing|ip default-gateway

L3動作の装置で対象経路を確認
show ip route
観測した状態 すぐには言えないこと 確認する範囲
MACあり・管理ARPなし 利用者のL2通信も失敗している 利用者の通信と管理通信を別に試す
管理ARPあり 利用者のVLAN間通信が可能 ip routing、経路、各SVI
GWのARP解決済み・管理通信不可 経路全体やNTP等が正常 GW以降の経路、制御、相手サービス

ARP表があったのでL3中継している、なかったのでL2通信も失敗する。どちらの早合点も避けられます。

図の二つの通信を別々に追い、それぞれどの表を使うかを書いてみてください。同じ装置に表が共存する理由がつかめます。

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