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VRRP Advertisementとは?Master・Backupの切り替わりを図解

VRRP Advertisementは、仮想ルーターのActiveが同じLANのBackupへ送る制御メッセージです。Backupは広告の受信状況とタイマーなどに基づいて役割を判断します。役割が変わったことと、端末の通信が復旧したことは別に確認します。

この記事はVRRPv3・IPv4を中心に扱います。現行のRFC 9568は旧RFC 5798を置き換え、用語をActive/Backupとしています。記事タイトルや製品のMasterという表示は、このActiveに対応する呼び方として読み合わせてください。

この記事でわかること

  • 端末はVIPを使い、ルーターは役割を選ぶ
  • AdvertisementはTCP/UDPのポート112ではない
  • 広告が欠落する通常ケースは、最後の受信からタイマーを読む
同一LANの端末・スイッチ・R1とR2、VIPを示す構成と、広告停止からpriority100のBackupがActiveになるタイマー例の図
上は接続構成、下は広告の時間図です。約3.609秒は最後の広告からの計算例で、障害操作からの業務復旧時間は別に測ります。 タップで拡大できます。

端末はVIPを使い、ルーターは役割を選ぶ

図は同一LAN 172.29.87.0/24の説明例です。端末のGWはVIP 172.29.87.1。R1の実IPは172.29.87.2、R2は.87.3で、同じVRIDの仮想ルーターを構成します。両方が同じLANへ接続し、R1がActive、R2がBackupという正常状態を想定しています。

端末のGWをR1の実IPへ設定すると、このVIPを使う冗長化の前提と変わります。VIPに対応する仮想MAC、ARP応答、実際の転送を確認します。VIPを共有しても、すべての設定・FW/NATのセッションが自動で同期されるわけではありません。

値・状態 意味 図の前提
VIP 端末がGWに使う仮想IP 172.29.87.1
実IP 各装置のIFのアドレス R1 .2、R2 .3
VRID 同じ仮想ルーターの識別 両端で一致させる
priority 役割選出に関わる優先度 R1 120、R2 100
広告間隔 Activeから通知する周期 1秒の説明例

AdvertisementはTCP/UDPのポート112ではない

IPv4ではIPプロトコル番号112を使い、宛先はリンク内マルチキャスト224.0.0.18、TTLは255です。TTLが255でない受信は破棄する仕様で、ルーターを越えて転送する広告ではありません。224.0.0.18は仕様上の宛先であり、図に置く端末用IPの例とは区別します。

広告にはVRID、priority、広告間隔などが含まれます。Backupが広告を見つけても、版やVRID、アドレス一覧などの条件を満たして受理されるかを、装置状態と合わせて確認します。VRRPv2の認証などをv3へ無条件に当てはめないでください。

参考:RFC 9568:VRRPv3のパケットと状態遷移(2026年10月5日確認)

取得するときは同じLANの制御通信が見える点を選びます。Wiresharkのvrrp表示で、送信元、VRID、版、priority、間隔と時刻を読みます。外向きのIFだけをミラーして広告が見えないことを、送信停止の証明にはしません。

広告が欠落する通常ケースは、最後の受信からタイマーを読む

仕様上、BackupのpriorityとActiveの広告間隔からSkewとActive Down Intervalを計算します。図はpriority100、広告間隔1秒の通常の欠落検知を使います。RFCのcentisecond表記を、ここでは秒へ換算しています。

計算例 / Backup Priority = 100 / 広告間隔 = 1秒
Skew = (256 - 100) / 256 × 1
     = 0.609375秒
Active Down Interval = 3 × 1 + 0.609375
                     = 3.609375秒

この値は最後に受理した広告からのタイマーで、障害操作から常に3.609秒後に業務が復旧するという意味ではありません。障害が広告周期のどの位置で起きたか、転送更新やアプリの再試行によって、操作からの観測結果は変わります。

priority0の停止通知を受けた場合はSkewへタイマーを短縮する分岐があり、通常の広告欠落と同じ待ち方ではありません。リンクの状態やtrackなどの機種固有機能でも変化するため、何を止めた試験かを明記します。

priority・preempt・追跡は、それぞれ条件を確認する

項目 確認すること 読み違い
priority 高い値の優先、同値の条件、実機の有効値 設定値だけで現在の役割を決める
IP所有者 VIPを実IPとして所有する装置の特別扱い すべての装置をpriority100と同じに扱う
preempt 高優先度が復帰した時の役割変更 復帰時の再断を試験しない
track等 上流到達性・IF等と有効priorityの変化 上流が切れれば自動で必ず切替と考える

仕様ではIP所有者はpriority255の特別な扱いがあり、preemptに関わらず優先します。図はVIPが両装置の実IPと別なので、この所有者ケースではありません。通常のBackupでpreemptを無効にする場合も、製品の設定と実効値を確認します。

上流が切れてもActiveがLAN側から広告を送れるなら、通常の広告欠落では検知できません。上流の障害をGWの切替へつなげる設計か、別の経路で復旧する設計かを確認します。タイマーを短くするだけではこの条件を解決しません。

状態変化、ARP/MAC、上流と実通信を照合する

Cisco IOS系の確認例 / 構文と版は実機で確認
show vrrp
show vrrp brief
show ip arp 172.29.87.1
show mac address-table
show ip route
show logging

端末のARPとスイッチのMAC学習、両ルーターの役割、転送経路を並べます。切替後のARP通知と仮想MACの学習位置、対象サービスの往復まで確かめます。VRRPは役割の冗長化であり、上流の全経路やアプリの状態をまとめて正常にする機能ではありません。

症状 確認する候補
両方Active LANの分断、広告の到達・受理条件、VRID・版
役割は変化したが通信不可 MAC/ARP、上流と復路、FW/NAT、端末GW
頻繁な切替 広告欠落、装置負荷、制御の制限、短いタイマー
復帰時に再断 preempt、追跡の復帰、有効priority、セッション

障害試験と復帰試験は、広告と利用者を同じ時刻軸で見る

正常時の広告と役割を保存し、検証で障害点を一つ変えます。最後の受信、タイマー、状態変化、ARP/MAC更新、業務成功の時刻を並べ、復帰時の再切替も確認します。計算したタイマーと観測値が違う場合は、まず測った開始・終了が同じ定義かを見直します。

測定の定義は冗長化の切替時間、交換する情報の違いは制御パケットで確認できます。図の接続と数値を自分の機器・版へ置き換え、役割と実通信をセットで記録してください。

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