冗長化の障害試験では、待機系がActiveになった時刻と、利用者の処理が再び成功した時刻を別々に測ります。機器の役割が切り替わっても、転送情報、戻り経路、FW/NATの状態、アプリの再試行が残れば通信は復旧しません。
「何秒断」と書く前に、測る対象、開始・終了の定義、送信間隔とtimeoutを決めます。このページでは時刻の取り方、試験条件、failoverとfailbackの判定を扱います。図の値は説明用で、実測や保証値ではありません。
この記事でわかること
- 障害操作・状態変化・通信復旧は、別のイベントとして保存する
- Pingの損失数だけを、厳密な秒数へ置き換えない
- ICMP・新規接続・既存セッションを分けて試験する

障害操作・状態変化・通信復旧は、別のイベントとして保存する
| 時刻 | 何を記録するか | この時刻だけでは言えないこと |
|---|---|---|
| 障害操作 | 対象、方法、操作した時刻 | いつ全通信が失敗し始めたか |
| 検知 | リンク・追跡・タイマーなどの判断 | 待機系で転送が使えるか |
| 役割・経路変化 | Active、経路の変化、次ホップ | 利用者の処理が再開したか |
| 転送の変化 | MAC/ARP、FIB、FW/NATの状態 | 認証やアプリ再接続の成功 |
| 業務成功 | 要求開始・応答完了、結果 | 既存セッションも継続したか |
これらの処理は並行したり一部が不要だったりするため、通信断を各処理時間の単純な合計と決めつけません。共有リンク断と装置停止でも検知方法が変わります。ログと実通信を並べ、実際に観測した前後関係を説明します。
VRRPならAdvertisementの欠落が一つの検知方法ですが、リンクやtrack、BFDなどを併用する実装では経路が異なります。BFDの検出時間も利用者の復旧時間そのものではありません。
参考:RFC 5880:BFDの障害検出(2026年10月5日確認)
Pingの損失数だけを、厳密な秒数へ置き換えない
図は0.2秒ごとに要求を開始した説明例です。最後に成功した要求の開始が障害操作の0.2秒前、最初に復旧成功した要求の開始が2.2秒後なら、開始時刻で区切る観測幅は2.4秒です。この値は、通信が厳密に2.4秒止まったことの証明ではありません。
要求開始・応答完了・timeoutは別の時刻です。直列のHTTP確認では応答待ちがあるため、指定した間隔どおりに開始できない場合もあります。非同期の要求でも順序が入れ替わることがあります。処理方式とIDを残し、どの結果がどの要求かを追えるようにします。
| 条件 | 測定への影響 | 残すもの |
|---|---|---|
| 送信間隔 | 短い停止を見落とす可能性 | 実際の要求開始の間隔 |
| timeout | 失敗確定が後になる | 開始、待ち期限、結果 |
| 再試行 | 最初の失敗を隠す可能性 | 初回と再試行を別に記録 |
| 時計の差 | ログの順序を読み違える | 同期状態、ずれ、タイムゾーン |
| RTTの変動 | 応答時刻と停止を混同する | 開始・応答時刻とRTT |
結果は「開始時刻で区切った観測幅2.4秒、間隔0.2秒、timeout条件は別記」のように、定義を添えて報告します。用途とオプションはPingの実務での使い方へ進んでください。
ICMP・新規接続・既存セッションを分けて試験する
| 対象 | 測定する結果 | 見落としやすいこと |
|---|---|---|
| ICMP Echo | 失敗・応答・RTT | アプリの正常性は未確認 |
| 新規TCP/TLS | 接続・handshake・初回処理 | 既存セッションは別 |
| 業務要求 | 正しい応答・処理完了・エラー | 再試行で初回失敗が隠れる |
| 既存セッション | 継続・切断・再接続 | 新規接続成功だけでは不明 |
| 複数の端末・区間 | 入口・出口・往路・復路 | 一つの観測点で全範囲を代表しない |
HTTP 200も必要な内容や認証が正しいかを確認します。書き込み処理の試験なら、重複実行やデータの整合性を確認できる検証用の条件を用意します。読み取りのhealth checkと本来の業務処理が異なるなら、その限界を明記します。
障害点を一つずつ変え、復旧までを試験計画に入れる
- 対象サービスと影響範囲、許容する観測条件と合否を決める。
- 正常時の役割・経路・ログと代表通信を保存する。
- 検証または承認した作業枠で、対象の障害を一つ起こす。
- 失敗と復旧、制御・転送・業務の時刻を記録する。
- 障害点を戻し、failbackと既存通信を再確認する。
電源断、IF停止、リンク断、上流到達性の喪失は同じ試験ではありません。VRRPの広告が届き続ける上流断では、GWの役割が自動で変わらない場合もあります。想定する障害を選び、監視・track等の設計と対応させます。共有部品や両系に共通の依存も構成図で確認してください。
failbackは、戻した後の再切替と通信の安定を確認する
優先度の高い装置が復旧したとき、preemptで役割が戻る設計なら再切替が起きます。役割を自動で戻さない設計、復帰遅延、手動復帰もあるため、障害試験と同じ条件として省略しないでください。
繰り返し試験では、負荷、キャッシュ、経路、セッション、タイマーの初期条件をそろえます。複数回の最大値とばらつきを残し、たまたま速かった1回を採用しません。切り戻しや物理復旧の担当、独立した管理経路も準備し、定めた時刻までに確認できなければ停止判断へ渡します。
合否は、サービス要件と測定の定義をセットで決める
| 判定項目 | 先に決める内容 |
|---|---|
| 許容停止 | 対象サービス、測定定義、許容幅 |
| 既存セッション | 継続が必要か、再接続を許容するか |
| 復帰 | 再切替の条件、安定確認の時間 |
| 既存への影響 | 試験外の通信・監視・ログの異常 |
| 記録 | 操作・状態・要求ID・時刻・実結果・判定者 |
製品の切替タイマーをそのまま業務の合格基準にしません。今回確認できた障害とサービス、残る未確認を分けて残します。VRRPの具体的な広告とタイマーはVRRP Advertisement、差分と段階確認は検証環境がない変更案件で整理できます。
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