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ユニキャスト・ブロードキャスト・マルチキャストの違い

ユニキャストは1対1、ブロードキャストは同一ブロードキャストドメイン内の全端末、マルチキャストは参加グループへの1対多通信です。違いは受信対象、宛先アドレス、ルーター越えの条件、代表用途を同じ表で比べると判断できます。

本文では、ARP・Web・映像配信を例に通信の向きを図解し、VLAN、IGMP Snooping、PIMとの関係、想定外のフラッディングを確認するコマンドまで説明します。

この記事でわかること

  • ユニキャスト・ブロードキャスト・マルチキャストは何が違う?
  • ユニキャストは1対1でどう転送される?
  • ブロードキャストはどこまで届く?
  • マルチキャストは参加グループへどう届く?

Xの元ポスト

ユニキャスト・ブロードキャスト・マルチキャストは通信を届ける範囲を決める重要な考え方だと説明したポスト。

(出典:Xの元投稿(X:ユニキャスト・ブロードキャスト・マルチキャストは通信を届ける範囲を決める重要な考え方だと説明したポスト。))

ユニキャスト・ブロードキャスト・マルチキャストは何が違う?

違いは受信対象です。ユニキャストは特定の1台、ブロードキャストは同一ブロードキャストドメイン内の全端末、マルチキャストはグループへ参加した端末を対象にします。

通信方式 関係 受信対象 代表例 ネットワーク側の制御
ユニキャスト 1対1 指定した宛先 Web、SSH、通常のAPI通信 MAC表、経路表
ブロードキャスト 1対全体 同一L2ドメインの全端末 ARP 要求、DHCP Discover VLANで範囲を分割
マルチキャスト 1対多 参加グループ 映像配信、ルーティング/冗長化の一部 IGMP Snooping、PIMなど
受信対象の違い
ユニキャスト:    A --------> B

ブロードキャスト: A ----+----> B
                         +----> C   同一VLANの全端末
                         +----> D

マルチキャスト:  A ----+----> B   Group参加
                         +----> D   Group参加
                              C   非参加

ユニキャストは1対1でどう転送される?

送信元は特定の宛先IPへパケットを作り、同一サブネットなら宛先端末、別サブネットならデフォルトゲートウェイのMACアドレスをEthernet フレームへ設定します。スイッチは宛先MAC、ルーターは宛先IPと経路表を使って転送します。

WebやSSHは通常、サーバーIPを宛先にしたユニキャストです。ただし最初の名前解決やARP、冗長プロトコルでは別の通信方式が使われるため、一つの業務通信内に複数方式が混在します。

ブロードキャストはどこまで届く?

Ethernetの宛先MAC ff:ff:ff:ff:ff:ff は、同一VLAN内の全ポートへ転送されます。ARP 要求やDHCP Discoverが代表例です。L3境界を越えるにはRelayなど明示的な仕組みが必要で、通常のルーター転送で無条件に別VLANへ広がるわけではありません。

宛先 範囲 用途
ARP 要求 FF:FF:FF:FF:FF:FF 同一VLAN 対象IPv4のMACを問い合わせる
DHCP Discover 限定Broadcastなど 同一サブネット、Relayでサーバーへ中継可 DHCP サーバーを探索する
Directed Broadcast サブネットのBroadcast アドレス 設定・製品ポリシーに依存 現在は安全上無効化される構成が多い

出典:RFC 919: Broadcasting Internet Datagrams

マルチキャストは参加グループへどう届く?

送信元は一つのマルチキャストグループアドレスへ送信し、参加Receiverがいる区間へ複製して配信します。IPv4マルチキャストの基本はRFC 1112で定義され、ホストはIGMPを使ってグループ参加を通知します。

L2ではIGMP Snoopingが参加ポートを学習し、不要ポートへのFloodを抑えます。L3で複数サブネットを越える場合は、PIMなどのMulticast ルーティングと、上流・受信側の設計が必要です。

出典:RFC 1112: Host Extensions for IP Multicasting

宛先IP・MACアドレスはどう違う?

L3の通信方式とL2の宛先MACを分けて確認します。IPv4 MulticastはIPアドレスだけでなくEthernet Multicast MACへ対応付けられます。Broadcast IPでもL2 Broadcastを使う場面があり、ユニキャストIPでも次ホップのUnicast MACを使います。

方式 IPv4宛先の例 Ethernet宛先 確認点
ユニキャスト 192.0.2.10 宛先またはネクストホップのUnicast MAC ARP、MAC表、経路表
限定Broadcast 255.255.255.255 FF:FF:FF:FF:FF:FF VLAN範囲、Relay
マルチキャスト 224.0.0.0/4内のGroup Multicast MAC IGMP Group、Snooping、PIM

ARP・Web・ルーティング プロトコルはどの方式を使う?

用途名だけで決めず、どのメッセージを送る段階かで分類します。ARP 要求はBroadcastですがARP 応答は通常Unicastです。Web通信はUnicastでも、名前解決やGateway解決では別方式が先に発生します。

通信 方式 補足
ARP 要求 Broadcast 同一VLAN全体へ問い合わせ
ARP 応答 通常Unicast 問い合わせ元へ回答
HTTP/HTTPS・SSH Unicast 特定サーバーとの通信
OSPFv2 Hello Multicastを利用 ネットワーク タイプなどで宛先は異なる
VRRPv3 Advertisement Multicastを利用 アドレス Familyとバージョンを確認
映像一斉配信 Multicastの候補 Receiver参加と経路設計が必要

VLANとブロードキャストドメインはどんな関係?

VLANはL2のブロードキャストドメインを論理的に分割します。同じスイッチに接続していてもVLANが違えば、通常のBroadcast フレームは相互に届きません。VLAN間通信はL3 インターフェースを経由し、必要に応じてDHCP Relayなどを設定します。

Broadcastが多い場合は、単にVLANを細分化する前に、発生プロトコル、送信元、毎秒パケット数、CPU・帯域への影響を測ります。過剰な分割はGateway、ACL、運用台帳を増やすため、要件と障害範囲で判断します。

IGMP Snooping・PIMはいつ必要?

同一VLAN内でマルチキャストを必要ポートだけへ届けたい場合にIGMP Snoopingを使い、ルーターを越えてReceiverのいるサブネットへ届ける場合にPIMなどのMulticast ルーティングを検討します。

# Cisco系の参照コマンド例。機種・OSで異なる
show ip igmp groups
show ip igmp snooping groups
show ip mroute
show ip pim neighbor
show interfaces counters
症状 確認 候補
同一VLAN全ポートへ流れる Snooping Group、Querier Group未学習、Flood設定
別サブネットへ届かない PIM ネイバー、mroute、RPF ルーティング未構成、RPF失敗
一部Receiverだけ映像乱れ ポート カウンター、帯域、Join/Leave 損失、輻輳、Receiver状態
Broadcast増加 パケットキャプチャ、送信元MAC ループ、障害端末、設計外プロトコル

まとめ:受信対象・範囲・制御方法で見分ける

ユニキャストは1対1、ブロードキャストは同一L2ドメイン全体、マルチキャストは参加グループへの1対多通信です。ARP、Web、映像配信など、実際のメッセージ単位で分類してください。

障害時は宛先IPだけでなく、宛先MAC、VLAN、MAC表、IGMP Group、Snooping、Multicast 経路を確認します。「1対多」という見た目だけでBroadcastとMulticastを同じ仕組みとして扱わないことがポイントです。

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