スイッチングは主に同一L2ドメイン内でMACアドレスを基にフレームを転送し、ルーティングは異なるIPネットワーク間で宛先IPと経路表を基にパケットを転送します。
同一セグメントとVLAN間通信の構成図を使い、ARP、MACテーブル、デフォルトゲートウェイ、ルーティングテーブルのどれが各段階で使われるかを図解します。
この記事はネットワークエンジニアの仕事内容の各論です。工程の全体像から確認したい場合はそちらへ。
スイッチングとルーティングは何が違う?
スイッチングとルーティングの違い:スイッチングは主に同一L2ネットワーク内でMACアドレスを基にフレームを転送し、ルーティングは異なるIPネットワーク間で宛先IPを基にパケットを転送します。
(出典:RFC 1812 Requirements for IP Version 4 Routers)
L2スイッチングとL3ルーティングはどう動く?
L2ではスイッチが宛先MACとVLANから出力ポートを選びます。L3ではルーターまたはL3スイッチが宛先IPとルーティングテーブルから次ホップを選び、次のL2フレームを作り直します。
同一VLAN内はスイッチがMACアドレステーブルを見て転送します。宛先が別ネットワークなら端末はデフォルトゲートウェイのMAC宛にフレームを送り、L3装置が宛先IPとルーティングテーブルから次の経路を決めます。
スイッチングとは?
宛先が同一セグメントなら、まずARPでMACを解決します。show arp の出力を見て、端末のIPとサブネットマスクから同一セグメントと判断した範囲と、実際にARPが解決できている相手が一致しているかを確認します。
| 確認軸 | 実務で押さえる内容 |
|---|---|
| ポイント1 | L2転送ではEthernetフレームとMACテーブルを使う |
| ポイント2 | L3転送ではIPパケットとルーティングテーブルを使う |
| ポイント3 | 同一セグメントかどうかは端末のIPとマスクで判断 |
| ポイント4 | 別セグメントでは端末がゲートウェイのMACを解決 |
| ポイント5 | ルーター通過ごとにL2ヘッダーは付け替わる |
(出典:RFC 826 An Ethernet Address Resolution Protocol)
ルーティングとは?
(出典:Configure Inter-VLAN Routing with Catalyst Switches(Cisco))
MACアドレスとIPアドレスの役割は?
MACアドレスは同一L2区間で次の転送先を識別し、IPアドレスはネットワークを越えた最終送信元・宛先を識別します。ルーターを越えるたびにL2ヘッダーのMACは付け替わりますが、NATがなければIPの宛先は維持されます。
- STEP 01送信元が宛先ネットワークを判定
- STEP 02同一なら宛先をARP解決
- STEP 03別ならゲートウェイをARP解決
- STEP 04スイッチがMACテーブルでフレーム転送
- STEP 05L3機器がルーティングテーブルで次ホップ決定
同一セグメント内の通信フロー
同一セグメント通信では、端末が宛先IPを同じネットワークと判断し、ARPで宛先端末のMACを解決します。スイッチは宛先MACをMACアドレステーブルで検索し、該当ポートへフレームを転送します。ルーターは経由しません。
異なるセグメント間の通信フロー
異なるセグメント宛てでは、端末はゲートウェイのMACをARPで解決し、IPパケットの宛先を最終端末のままゲートウェイへフレームを送ります。L3機器は宛先IPを経路表で検索し、次ホップへ転送します。各区間でMACは変わりますが、NATがなければ宛先IPは維持されます。
L2・L3の設定と障害をどう切り分ける?
同一VLANではリンク、VLAN所属、MAC学習、ARPを確認します。別セグメントではそれに加え、SVI/ルーターIF、ゲートウェイ、経路表、ACL、復路を往復で見ます。
L3スイッチはどちらを行う?
スイッチングとルーティングの違いの実務上の完了条件は、コマンドが一度通ることではありません。期待した経路・セッション・ログとの一致、変更前後の証跡、異常時の停止条件、切り戻し結果まで確認します。
同一なら宛先をARP解決の前後で何が変わり、何が維持されるかを追うと役割の違いが明確になります。
ARP・MACテーブル・ルーティングテーブルはどんな関係?
端末はARPで次ホップIPをMACへ変換し、スイッチはMACアドレステーブルで転送ポートを決めます。宛先が別セグメントならルーターがルーティングテーブルで次の転送先を選ぶため、三つの表を同じ送信元・宛先・VLAN・時刻でつなげて確認します。
構成図を読むコツ
構成図は通信の送信元から宛先へ線をたどり、インターフェース、VLAN、IP、ネクストホップ、ポリシーの境界を順に拾います。
次にshow interfaces switchportで実際の状態を取得し、期待した「別セグメントでは端末がゲートウェイのMACを解決」が成立しているかを判断します。
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構成図と実機の値を照合する
スイッチングは一つのshowコマンドの出力だけで正常判定しません。MACアドレスとIPアドレスの役割、同一セグメント内の通信フロー、異なるセグメント間の通信フローまで追い、構成図と実機の値を照合します。
パケットキャプチャをL3機器の前後で比べると、IPの送信元・宛先が維持され、MACの送信元・宛先が変わる基本を確認できます。NATがある場合はIPも変わるため別途記録します。
案件では、正常時の情報がなければ障害時の差分を判断できません。作業前にshow mac address-tableとshow arpを取得し、変更後も同じ条件で比較します。端末Aから別VLANの端末Bへ送るとき、端末AはBのMACを探さずゲートウェイのMACへ渡します。L3機器はB側VLANへ出す際に新しいL2ヘッダーを作ります。
この内容は、設計構築チャンネルの動画でも解説しています。
まとめ
同一L2内はMACとVLANによるスイッング、異なるIPネットワーク間は宛先IPと経路表によるルーティングです。構成図でL2境界とL3境界を先に分けると、切り分け箇所が明確になります。
