MDIとMDI-Xの違いは、送信と受信をどのピンに割り当てるかが逆という一点です。10BASE-T/100BASE-TXでは、MDIが1-2番で送信・3-6番で受信、MDI-Xがその反対になります。
送信と受信を噛み合わせる必要があるため、同じ種類のポート同士(MDI同士、MDI-X同士)を繋ぐときはクロスケーブルが要ります。いまはAuto-MDIXがこれを自動で入れ替えるので意識する場面は減りましたが、speedとduplexを固定するとAuto-MDIXは動かなくなります。そこが実務でつまずく箇所です。
このページはネットワークエンジニアの仕事内容の各論です。担当工程の全体像を先に確認する場合はそちらへ。
MDIとMDI-Xのピン割り当て
MDIはMedium Dependent Interface、MDI-XはそのCrossover版です。10BASE-T/100BASE-TXでの割り当ては次のとおりです。
| ピン | MDI | MDI-X |
|---|---|---|
| 1・2番 | 送信(TX) | 受信(RX) |
| 3・6番 | 受信(RX) | 送信(TX) |
通信するには、片方の送信がもう片方の受信に届く必要があります。MDIとMDI-Xを繋げば1-2番の送信が相手の1-2番(受信)に入るので、ピンをそのまま結ぶストレートケーブルで成立します。
一方、MDI同士を繋ぐと送信と送信、受信と受信が向かい合ってしまいます。この場合はケーブル側で1-2番と3-6番を入れ替えるクロスケーブルが必要になります。
どの機器がMDIで、どれがMDI-Xか
| ポートの種類 | 該当する機器 | 備考 |
|---|---|---|
| MDI | PC、サーバー、ルーターのLANポート | 「端末側」と覚えると分かりやすい |
| MDI-X | スイッチ、ハブの一般ポート | 「集線する側」。ポート名に X が付いている機器もある |
古いスイッチには「Uplink」と書かれたポートや、MDI/MDI-Xを切り替えるスイッチが付いているものがあります。これは、スイッチ同士を接続するときにストレートケーブルを使えるよう、そのポートだけMDI側に切り替える仕組みです。
ストレートとクロスの使い分け
| 接続の組み合わせ | ポートの種類 | 必要なケーブル |
|---|---|---|
| PC ↔ スイッチ | MDI ↔ MDI-X | ストレート |
| ルーター ↔ スイッチ | MDI ↔ MDI-X | ストレート |
| スイッチ ↔ スイッチ | MDI-X ↔ MDI-X | クロス |
| PC ↔ PC | MDI ↔ MDI | クロス |
| ルーター ↔ ルーター | MDI ↔ MDI | クロス |
| PC ↔ ルーター | MDI ↔ MDI | クロス |
覚え方としては、種類が違えばストレート、同じならクロスです。ルーターがMDI側である点だけ注意すると、表を暗記しなくても導けます。
Auto-MDIXが働く条件
Auto-MDIXは、接続先のピン割り当てを検出して自分側を自動で入れ替える機能です。Cisco機器では既定で有効で、10/100/1000Mb/sのポートと10/100/1000BASE-TXのSFPモジュールで動作します(1000BASE-SX・LXなどの光SFPは対象外です)。
実務で効いてくるのはここで、Auto-MDIXが働くにはspeedとduplexが auto である必要があります。トラブル対策や過去の運用ルールで speed 100 と duplex full を固定していると、Auto-MDIXは効きません。
Switch(config)# interface GigabitEthernet1/0/1
Switch(config-if)# speed auto
Switch(config-if)# duplex auto
両端のAuto-MDIXの有無と、ケーブル種別の正誤で結果がどうなるかは、Ciscoが表で示しています。
| 自機のAuto-MDIX | 対向のAuto-MDIX | ケーブルが正しい場合 | ケーブルが誤っている場合 |
|---|---|---|---|
| 有効 | 有効 | リンクアップ | リンクアップ |
| 有効 | 無効 | リンクアップ | リンクアップ |
| 無効 | 有効 | リンクアップ | リンクアップ |
| 無効 | 無効 | リンクアップ | リンクダウン |
つまり片方でもAuto-MDIXが有効なら、ケーブル種別を間違えてもリンクは上がります。逆に言えば、リンクが上がらない現象がケーブル種別のせいだと言えるのは、両端とも無効な場合だけです。speed/duplexを固定している現場では、この条件が揃いやすくなります。
出典:Configuring Auto-MDIX(Cisco Catalyst 1000 Switches)(2026年8月確認)
CiscoでAuto-MDIXを確認・無効にする
Auto-MDIXは、ストレートとクロスのどちらを挿してもリンクが上がるように、機器側がMDIとMDI-Xを自動で切り替える機能です。Catalystでは既定で有効ですが、速度とデュプレックスの両方がautoでないと動作しません。片方でも固定していると効きません。
| 操作 | コマンド | 補足 |
|---|---|---|
| 設定を確認する | show running-config interface <interface> | 既定値は表示されないことがある |
| 有効にする | (config-if)# mdix auto | speed auto / duplex auto が前提 |
| 無効にする | (config-if)# no mdix auto | 結線どおりの極性で固定される |
検証環境では便利ですが、本番の構内配線では「Auto-MDIXが無効でも上がる結線」にしておくほうが安全です。頼った状態にしておくと、速度・デュプレックスを固定した瞬間にリンクが上がらなくなり、原因が配線だと気づくまでに時間がかかります。
リンクが上がらないときにAuto-MDIXを疑う順番は、①両端の速度・デュプレックスがautoか、②片側だけ固定していないか、③ケーブルの種類と機器の組み合わせ、の順です。
1000BASE-Tでは考え方が変わる
1000BASE-Tは4対すべてを使い、各対で送受信を同時に行います。10/100のように「1-2が送信、3-6が受信」と固定されているわけではないため、MDI/MDI-Xの区別は10/100ほど単純ではありません。
実務上は、1000BASE-T同士の接続でケーブル種別を意識する場面はほとんどありません。ただし1000で繋いだつもりが100でリンクしていることがあり、その場合は10/100のルールが効いてきます。show interfaces status で実際のSpeedを確認してから判断してください。
リンクが上がらないときの確認順
- 両端のspeed / duplex設定を見る
どちらかが固定されていればAuto-MDIXは効きません。まずここを確認します。 - 実際にリンクしている速度を確認する
show interfaces statusでSpeedとDuplexを見ます。設定値ではなく実測値です。 - ケーブル種別を現物で確認する
ラベルではなく、コネクタの結線色順を両端で見比べます。ラベルと中身が違うことがあります。 - ケーブルテスターで結線を確認する
ペアの入れ替わり、断線、長さ超過を切り分けます。目視では分かりません。 - 対向機器のポート状態を見る
片側だけを見ていると、対向がshutdownやerr-disabledになっているケースを見落とします。
ポートの状態がerr-disabledになっている場合の対処はerr-disabledの解除方法にまとめています。
配線の証跡に残すもの
- 始点と終点の機器名・ポート番号、経由するパッチパネルとポート
- ケーブルID、種別(ストレート/クロス)、カテゴリ、長さ
- 両端のspeed / duplex設定と、リンク後の実測値
- テスターの試験結果(実施日と実施者つき)
- 構成図と現物を照合した日
ケーブル種別だけを記録しても、Auto-MDIXが有効なら結果に現れません。設定と実測値をセットで残すことで、後から原因を追えるようになります。
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まとめ
MDIとMDI-Xは、10/100で送信ピンと受信ピンの割り当てが逆になっているポートです。種類が違えばストレート、同じならクロスを使います。ただしCisco機器ではAuto-MDIXが既定で有効なので、片方でも有効ならケーブル種別を間違えてもリンクは上がります。そのAuto-MDIXはspeedとduplexがautoでないと働かないため、固定設定の現場ではケーブル種別が結果に出ます。リンクが上がらないときは、ケーブルを疑う前に両端のspeed / duplex設定と実際のリンク速度を確認してください。
