動画と記事で学ぶ / L2・L3と経路制御
スイッチングはVLAN内でMACを見てフレームを転送し、ルーティングは宛先IPで別ネットワークへ転送します。同一VLANとVLAN間の通信を具体的なIP・MACの流れで比較。
ここからは、記事でゆっくり確かめましょう。図や操作の例を見ながら、気になるところから読み進めてください。
同じスイッチにつないだPCなのに、ある組み合わせはそのまま通信でき、別の組み合わせはゲートウェイが必要になる。これは、スイッチングとルーティングで扱う範囲が違うためです。
スイッチングは、主に同じL2の範囲でフレームを運びます。ルーティングは、異なるIPネットワークの間でパケットを運びます。L2・L3はOSI参照モデルの層の名前です。言葉だけで覚えず、PCが最初に誰へ渡すかから考えてみましょう。
L2はMAC、L3は宛先IPを見て転送する
Ethernetのフレームには送信元と宛先のMACがあり、その中にIPパケットが入ります。IPパケットにも送信元と宛先のIPがあります。同じ通信に二種類の宛先があるので、まずどの欄を見ているかを分けます。
L2スイッチは、VLANと宛先MACから出力ポートを選びます。ルーターやL3スイッチは、宛先IPをルーティングテーブルで検索し、次に渡す相手や出力先を選びます。
MACは、そのL2区間で渡す相手を表します。IPは、ネットワークを越えて通信する相手を表します。NATを使わない基本例では、ルーターを通るたびにMACは変わりますが、宛先IPは最終端末のままです。
同じLANと別LANを、二つの例で比べる
図のPC-Aは172.28.31.10/24、PC-Bは172.28.31.20/24で、同じVLAN10にいます。PC-Aは自分のIPとマスクから、PC-Bが同じサブネットだと判断します。ARPでBのMACを調べ、B宛てのフレームを送ります。
PC-CはVLAN20、172.28.42.20/24です。PC-Aから見ると別サブネットなので、ゲートウェイ172.28.31.1のMACをARPで調べます。フレームはゲートウェイ宛てですが、中のIPパケットはPC-C宛てです。
同一VLAN内はスイッチがMACアドレステーブルを見て転送します。宛先が別ネットワークなら端末はデフォルトゲートウェイのMAC宛にフレームを送り、L3装置が宛先IPとルーティングテーブルから次の経路を決めます。
- STEP 01送信元が宛先ネットワークを判定
- STEP 02同一なら宛先をARP解決
- STEP 03別ならゲートウェイをARP解決
- STEP 04スイッチがMACテーブルでフレーム転送
- STEP 05L3機器がルーティングテーブルで次ホップ決定
| 通信 | 端末がARPする相手 | スイッチの確認 | L3機器の確認 |
|---|---|---|---|
| 同一VLAN | 宛先端末 | VLANと宛先MACの学習ポート | 通常は不要 |
| 別VLAN | デフォルトゲートウェイ | ゲートウェイMACの学習ポート | 宛先経路、ACL、戻り経路 |
ゲートウェイはPC-Cへの経路を選び、VLAN20側の相手へ渡す新しいフレームを作ります。ここで送信元・宛先MACが付け替わり、通常TTLが一つ減ります。
図を見るときは、まずどこまでが同じVLANか、どこでL3の中継が行われるかを探してください。その境界が分かると、必要なゲートウェイと経路を確認できます。
ARP・MAC表・経路表は、それぞれ別の疑問に答える
ARP表は、次に渡すIPの相手のMACを知るための情報です。MAC表は、そのMACへ出すポートを知るための情報。経路表は、宛先IPへ向かう出力先や次ホップを知るための情報です。
別LANへ送るときは、経路を選び、その区間で渡す相手のMACを解決してフレームを送ります。途中のスイッチは、その宛先MACを使ってポートを選びます。
どの表も「通信できるか」を全部答えるものではありません。経路があってもARPが解決できなければ渡せず、MAC表があっても別VLANの経路がなければ到達できません。
三つの表を同じ送信元・宛先の通信で追うと、どの段階まで進めたかを説明しやすくなります。
L3スイッチも、通信によって使う機能が変わる
L3スイッチは、L2スイッチングとL3ルーティングの両方を行えます。同じVLAN内のフレーム転送と、SVIなどを経由したVLAN間のIP転送を、一台で担当できます。
SVIはVLANに対応するL3インターフェースです。そこへ設定したIPを端末のゲートウェイにする構成があります。VLANを作っただけで、IPの中継も自動的にできるわけではありません。
管理用IPがあるスイッチも、すべてL3中継を行うとは限りません。利用者の通信がどのインターフェースを通り、IPルーティングがどの範囲で有効かを確認します。
機器名に「L3」とあるかより、その通信で使われるVLAN、SVI、経路を見るほうが確実です。
つながらないときは、同じLANかどうかから分ける
同じLANの端末同士なら、両端のリンク、VLAN所属、端末のIP・マスク、ARP、MAC学習を確認します。同じスイッチに挿しただけでは、同じVLANとは限りません。
別LANの通信なら、それにゲートウェイ、SVIやルーターの状態、宛先経路、戻り経路、ACLを足します。まず近いゲートウェイまで確かめ、次にその先へ調査範囲を広げると整理しやすくなります。
キャプチャをL3機器の前後で比べる場合は、IPとMACを別々に記録します。NATがあるならIPも変わるため、基本例の「IPはそのまま」を無条件に当てはめません。
構成図と実機の表示を照合するときも、どの通信についての値かをそろえます。別の端末や別のVRFの表を比べると、違いがあるのか、見ている範囲が違うのかを判断できなくなります。
最初に渡す相手を説明できれば、違いがつかめる
同じLANなら宛先端末へ、別LANならゲートウェイへ。端末が最初に渡す相手を説明すると、ARP、MAC表、経路表の役割がつながります。
スイッチングはVLANとMAC、ルーティングは宛先IPと経路表で考えます。次に図の一本の通信を選び、L3境界の前後で何が変わるかを追ってみてください。
この見方ができると、「ARPはあるがMACがない」「MACはあるが経路がない」といった表示も、別々の確認結果として読めるようになります。
動画・筆者の投稿で補足する
文章と図で流れをつかんだら、関連する動画も参考にしてください。画面の表示や操作は、機種・ソフトウェアの版によって異なる場合があります。
