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ARPテーブルとMACテーブルで障害を切り分ける方法

ARPテーブルでIPアドレスから次ホップのMACアドレスを特定し、MACアドレステーブルでそのMACが学習されたVLANとスイッチポートを追うと、障害がL3到達前か、L2経路・端末側かを絞れます。二つの表は役割が異なるため、同じ時刻の情報を照合することが前提です。

本文では、対象IPから接続ポートまで追う6ステップ、Cisco IOS系のコマンド例、ARP Incomplete・MAC未学習・MAC flappingの見分け方、正常復旧の完了条件を示します。

この記事でわかること

  • ARPテーブルとMACテーブルは何が違う?
  • IPアドレスから接続ポートまで追う6ステップ
  • show ip arpとshow mac address-tableはどう読む?
  • ARP Incompleteは何を示す?

Xの元ポスト

ARPはIPとMAC、MACテーブルはMACとポートの対応を見るため両方を使い分けると説明したポスト。

ARPテーブルとMACテーブルは何が違う?

ARPテーブルはIPv4アドレスと同一リンク上のMACアドレスを対応付け、MACアドレステーブルは送信元MACアドレスを受信したVLAN・スイッチポートへ対応付けます。IPから物理接続先を追うには、ARPでMACを特定し、そのMACをスイッチで追跡します。

比較 ARPテーブル MACアドレステーブル
対応関係 IPv4アドレス ↔ MACアドレス MACアドレス ↔ VLAN・受信ポート
主な保持機器 端末、ルーター、L3 スイッチ、FW L2/L3 スイッチ
学習の契機 ARP 要求/応答など 受信フレームの送信元MAC
障害で分かること IPの相手MACを解決できるか MACがどのVLAN・ポート側にいるか
Cisco確認例 show ip arp show mac address-table

ARPの基本動作はRFC 826で定義されています。ARPはIPv4で使う仕組みであり、IPv6はネイバー Discoveryを使うため、同じコマンド・状態を前提にしません。

出典:RFC 826: An Ethernet Address Resolution Protocol

IPアドレスから接続ポートまで追う6ステップ

対象IP、期待MAC、VLAN、取得時刻を固定し、L3機器のARPからAccess スイッチまで順に追います。通信がないとエントリが消えるため、必要なら承認された疎通を発生させてから同じ時刻帯で取得します。

  1. 構成図と台帳で対象IP・VLAN・Gatewayを確認する
  2. Gatewayで対象IPのARPエントリを確認する
  3. 取得したMACアドレスを表記形式に合わせる
  4. 同じVLANのMACアドレステーブルで学習ポートを確認する
  5. Trunk/ポート-channelなら対向スイッチへ移って同じMACを追う
  6. Access ポート、端末、配線、実通信を照合して完了判定する
IPから接続ポートを追う流れ
IP 192.0.2.10
   | show ip arp
   v
MAC aabb.ccdd.eeff
   | show mac address-table address ...
   v
VLAN 20 / Port-channel1
   | 対向Switchで同じMACを検索
   v
GigabitEthernet1/0/10 / 端末

show ip arpとshow mac address-tableはどう読む?

ARPではIP、MAC、インターフェース/VLAN、Age、状態を確認します。MACアドレステーブルではVLAN、MAC、タイプ、ポートを確認し、両方のVLANが一致するかを見ます。

# Cisco IOS系の表示例。値は検証用
R1# show ip arp 192.0.2.10
Protocol  Address       Age (min)  Hardware Addr   Type  Interface
Internet  192.0.2.10           2  aabb.ccdd.eeff  ARPA  Vlan20

SW1# show mac address-table address aabb.ccdd.eeff
Vlan  Mac Address       Type      Ports
----  -----------       --------  -----
  20  aabb.ccdd.eeff    DYNAMIC   Gi1/0/10

この例なら、192.0.2.10はVLAN 20でaabb.ccdd.eeffへ解決され、そのMACはSW1のGi1/0/10から学習されています。古いAgeやスタティック ルール、ポート-channel配下では追加確認が必要です。

ARP Incompleteは何を示す?

ARP Incompleteは、対象IPv4アドレスのMAC解決が完了していない手掛かりです。ARP 要求を送っても応答が戻らない、要求自体が正しいVLANへ出ていない、端末が応答できない、といった複数の原因があります。

確認順 確認すること 異常時の候補
1 対象IPとサブネット IP・マスク・Gateway誤り
2 SVI/インターフェース状態 VLAN down、VRF違い
3 ARP 要求送信 経路・インターフェース選択違い
4 同一VLANのMAC学習 Trunk漏れ、リンク、端末停止
5 応答受信 端末FW、重複IP、片方向障害

MACが未学習のときは何を確認する?

MAC未学習は、端末からフレームを受信していないことを示します。端末が通信していないだけの場合もあるため、未学習だけで配線断と断定せず、ポート状態、VLAN、Trunk、STP、LAG、端末送信を確認します。

show interfaces status
show interfaces trunk
show spanning-tree vlan 20
show mac address-table vlan 20
show interfaces counters errors

上位側のスイッチでは見えるが下位側で見えない場合、取得時刻、MAC aging、ポート-channelの学習表示、仮想化環境のMAC移動も考慮します。

MAC flapping・重複IPはどう見分ける?

MAC flappingは同じMACの学習ポートが短時間に移動する状態です。ループだけでなく、正常な冗長構成、NIC teaming、仮想マシン移動、MLAG表示でも発生し得るため、Topologyと時刻を照合します。

症状 ARP側 MAC側 主な確認
MAC flapping 同じIP/MACのことが多い ポートが短時間に移動 STP、LAG、仮想化、ループ
重複IP 同じIPのMACが変化 複数MACは別ポートで安定する場合 DHCP、静的IP、ARPログ
端末移動 IP/MAC対応は維持 新ポートへ一度移動 作業記録、認証ログ
MAC aging ARPが残る場合あり 無通信でルール消失 Age、最終通信、再試験

障害切り分けを完了と判断する条件

ARPとMACが一度表示されただけでは完了ではありません。期待するポート・VLANへ安定して学習し、Gatewayと宛先の疎通、業務ポート、監視、冗長経路が正常であることを確認します。

  • IP、MAC、VLAN、ポートの対応が台帳・構成図と一致する
  • ARP IncompleteやMAC移動が再発しない
  • エラー カウンターやSTP変化が増加していない
  • 往路・復路と業務通信が正常である
  • 変更内容、原因、復旧時刻、残課題を記録した

インフラエンジニアが案件で考えること

ARPとMACの表は、その瞬間に機器が学習している状態です。取得時刻の違う二つの表、通信前後の違う表、別VRF・別VLANの表をつなぐと誤判定します。コマンド出力には機器名、時刻、VRF/VLAN、対象IP/MACを付けます。

まとめ:ARPでMAC、MAC表でVLANとポートを追う

ARPテーブルはIPとMAC、MACアドレステーブルはMACとVLAN・ポートを対応付けます。対象IPからARPでMACを得て、そのMACをスイッチ間で追うと、障害区間をL3からL2・物理側へ絞れます。

ARP Incomplete、MAC未学習、MAC flappingは原因名ではありません。状態を示す手掛かりとして使い、構成図、インターフェース、VLAN、STP、LAG、端末、取得時刻を照合してください。

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