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ネットワークエンジニアの仕事内容|運用・構築・設計で実際にやること

ネットワークエンジニアの仕事は、ルーターやスイッチを設定することだけではありません。通信が止まった原因を切り分ける日もあれば、Excelで試験項目を作り続ける日も、深夜にデータセンターで切替作業をする日もあります。同じ職種名でも、どの工程を担当するかで一日の中身がまるで違います。

この記事では、監視、運用保守、設計構築、設計という4つの工程それぞれで実際にやっていることを、扱う技術、確認コマンド、作る資料まで含めて説明します。筆者は30歳・業界未経験からネットワークの設計構築を行うSIerへ入り、金融系とオフィス系のネットワークを担当してきました。求人票の言葉では見えない部分を中心に書いています。

この記事で分かること

  • 監視・運用保守・設計構築・設計で、一日の中身がどう変わるか
  • 現場で実際に扱う技術と、確認に使うコマンド
  • 障害対応で、どの順番に何を見ているか
  • ネットワークエンジニアが日常的に使うツールと資料
  • 未経験者がこの仕事に就くまでに必要なもの

ネットワークエンジニアの仕事は4つの工程に分かれる

求人票では全部が「ネットワークエンジニア」ですが、現場では担当する工程がはっきり分かれています。違いは技術の難易度ではなく、自分で判断してよい範囲と、作業のあとに責任を持つ範囲です。

工程 実際にやっていること 判断できる範囲 作るもの
監視 アラートの対象・時刻・影響を確認し、手順に沿って連絡する 手順書に書かれた範囲のみ 障害チケット、連絡記録
運用保守 ログとconfigを調べ、一次切り分け、定期変更、機器交換をする 既定の変更、切り分けの進め方 調査記録、変更手順、切り戻し手順
設計構築 設定値を決めてconfigを作り、試験し、本番へ入れる パラメータ、試験項目、当日の中止判断 詳細設計書、パラメータ表、config、試験仕様書
設計 要件から構成、経路、冗長化、通信制御の方式を決める 方式そのもの、費用と可用性のバランス 基本設計書、全体構成図、移行方針

監視には「手順書に書かれていない操作をしてはいけない」というルールがあります。イレギュラーなコマンドで障害を起こさないための決まりですが、裏を返すと、経験できる範囲に最初から制限がかかっているということです。この制限をどう外していくかが、ネットワークエンジニアのキャリアの中心にあります。

設計構築という工程そのものが何をする仕事なのかはネットワークエンジニアの設計構築とはで、8つの工程と成果物に分けて解説しています。基本設計と詳細設計の境目はネットワークの基本設計と詳細設計の違い、その手前の要件定義はネットワーク要件定義の仕事内容を参照してください。

工程が変わると、一日の中身が変わる

監視・運用保守の一日

交代勤務なら、まず前の担当者からの引き継ぎを受けます。継続中の障害、抑止しているアラート、予定されている作業を確認してから席に着きます。そのあとは、上がってきたアラートを一件ずつ処理します。リンクダウン、CPU使用率、疎通監視の失敗、VPNの断——アラート名だけでは影響が分からないので、対象機器、発生時刻、影響を受けている拠点や利用者を確認してから連絡します。

問い合わせも入ります。「つながらない」という連絡に対して、どこからどこへの通信で、いつから、他の人はどうかを聞き取り、一次確認をします。空いた時間で、日次の点検、configのバックアップ確認、月次報告用の集計をします。

設計構築の一日

意外に思われるかもしれませんが、機器に触っている時間はそれほど長くありません。実際に多いのは、既存の設計資料を読む時間、パラメータの整合性を確認する時間、試験項目を書く時間、レビュー指摘を直す時間、顧客や他チームと日程を合わせる時間です。

筆者がこの仕事を始めたときも、期待していた機器操作より、ExcelやWordで情報を整理する時間のほうが長いことにまず驚きました。ただしこれは雑務ではありません。VLAN番号やIPアドレスは一箇所書き間違えるだけで通信が止まりますし、切り戻し手順が曖昧なまま本番作業に入ると、想定外が起きたときに戻せなくなります。資料はそれを防ぐための道具です。何をどう書くかはネットワークエンジニアのExcel実務にまとめています。

ネットワーク設計構築の仕事内容。仕事の7割がエクセル!?

設計の一日

設計担当になると、機器に触る時間はさらに減ります。午前は顧客やアプリ担当との打ち合わせで要件を聞き、午後は方式を比較して構成図と設計書に落とし、夕方にレビューを受けて指摘を直す——おおよそこの繰り返しです。

比較の中身は、たとえば「拠点間を専用線で結ぶかVPNにするか」「冗長化を自動切替にするか手動復旧にするか」といった判断です。技術的にどちらも作れるので、費用、障害時の停止時間、運用の手間で選びます。ここで決めたことが、そのまま詳細設計のパラメータと試験項目になります。一日の配分をもう少し細かく見たい場合はネットワーク設計の1日を参照してください。

本番切替の日

切替作業は、業務時間中に通信を止められないため夜間や休日になります。当日は手順書の項番どおりに進め、各項番で「正常と判定する条件」を確認しながら次へ進みます。想定と違う結果が出たときに、続行するか中止して切り戻すかを判断する時刻をあらかじめ決めておきます。

時刻 やること
22:00 現地集合。顧客・メンバーで入館し、サーバールームへ
22:30 作業開始。対象機器を確認してログイン
作業前 確認系コマンドで切替前の状態を取得・保存
作業 手順書の項番に沿って切替を実施
作業後 正常性試験。想定どおり通信・動作するかを確認
作業後 障害試験。異常系と冗長切替の動作を確認
終了前 ログを取得し、作業証跡として保存
02:00 退館

実際に設定を変えている時間は、全体のごく一部です。入館手続き、現状の取得、正常性試験、障害試験、証跡のログ取得——切替そのものより前後のほうが長くなります。「夜間作業はずっと機器を触っている」というイメージで入ると、ここでギャップが出ます。

切替後は、疎通試験、冗長試験、監視の復旧確認、業務側での確認までが仕事です。冗長化の切替時間をどう測るかは冗長化の障害試験で見るべき切替時間で扱っています。

現場で扱う技術の地図

ネットワークの技術は範囲が広く、単語で覚えても現場では使えません。実際には「通信がどこまで届いているか」を確定するために使うので、レイヤーごとに整理しておくと障害対応でそのまま役立ちます。

ネットワークエンジニアが扱う技術の全体像上ほどアプリ寄り、下ほど物理寄り。障害時は下から順に潰していく上位L4〜L7TCP/UDP・ポート番号・DNS・NTP確認:nslookup/telnet ホスト ポート通信制御L3〜L4ACL・ファイアウォール・NAT確認:show access-list/ポリシーテスト可用性冗長化・QoSHSRP/VRRP・STP・リンク集約・帯域制御確認:show standby/show spanning-treeL3ネットワーク層IPアドレス・サブネット・経路・ルーティング確認:show ip route/tracerouteL2データリンク層VLAN・MACアドレス・スイッチング・ARP確認:show mac address-table/show arpL1物理層ケーブル・光/メタル・MDI/MDI-X・リンク状態確認:show interfaces/現地でのランプ確認
図:ネットワークエンジニアが扱う技術の全体像(レイヤー別)

L2:同じセグメントの中で届く仕組み

スイッチは宛先MACアドレスを見て転送先のポートを決めます。テーブルに載っていない宛先なら、受信ポート以外の全ポートへ流します。この動きを知っていると、「特定の機器だけ通信できない」「一時的につながらなくなる」といった症状の原因候補が絞れます。VLANが違えば同じスイッチに挿さっていても届きませんし、ARPで対向のMACが引けなければIPが正しくても通信は始まりません。

L3:セグメントを越えて届く仕組み

経路表の読み方は、運用保守から設計構築へ進むときに最初に必要になる力です。どの経路が選ばれるかを説明できると、障害時の切り分けが一段速くなります。

通信制御:ACL・ファイアウォール・NAT

企業ネットワークでは、通信を通すことより「通してはいけない通信を止めること」に時間を使います。ここは設定ミスが業務停止に直結するため、レビューが最も厳しく入る領域です。

難しいのは、ACLもNATも「どの時点のIPアドレスを見ているか」で結果が変わることです。ルーターの中でNATと経路選択とACLが処理される順番が決まっていて、その順番を勘違いすると、正しく書いたつもりのACLが効かない、あるいは意図しない通信まで止まります。ここを理解しているかどうかが、運用保守と設計構築の分かれ目になります。

冗長化と品質制御

冗長化は「二重にしておけば安心」という話ではありません。機器同士が制御パケットをやり取りして互いの生死を確認し、片方が落ちたと判断したときに切り替わります。設計で決めるのは、何秒で切り替わるか、その間の通信断を業務が許容できるか、切り替わったあと自動で戻すのかどうかです。障害試験ではこの切替時間を実測します。

QoSも誤解されやすい機能です。帯域を増やすものではなく、混雑したときにどの通信を先に通すかを決める仕組みです。

状態を確認するコマンドの読み方

コマンドを打てることと、出力を読めることは別です。現場では、出力のどの行を見て正常・異常を判断するかが問われます。

障害対応では、どの順番で何を見ているか

障害連絡を受けたとき、いきなり機器の設定を変えることはありません。まず影響範囲と直前の変更を確認し、そのうえで「どこまで正常か」を一つずつ確定していきます。原因を当てにいくのではなく、正常な範囲を広げていく作業です。

  1. 影響範囲を確認する(一人か、拠点全体か、特定の通信だけか)
  2. 直前の変更を確認する(作業予定、他チームの変更、機器の再起動)
  3. 物理リンクを確認する
  4. VLANとIPアドレスを確認する
  5. ARPで対向が見えているか確認する
  6. 経路表で往路と復路を確認する
  7. ACLやファイアウォールで止めていないか確認する
  8. 名前解決と、宛先サービスの状態を確認する
【OSI参照モデル】ネットワーク通信障害の切り分け方法。Pingが通らないときの対策

この順番そのものと、各段階で使うコマンドはネットワーク障害の切り分け順番にまとめています。面接で「切り分けはどうしますか」と聞かれたときに、この順番を自分の言葉で説明できるかどうかが評価の分かれ目になります。

pingとtracerouteは、思っているより情報が少ない

pingが返らないことは「ネットワーク障害」を意味しません。途中でICMPを許可していない、戻りの経路がない、宛先ホストが止まっている、どれでも同じ症状になります。逆にpingが通っても、業務通信が成立するとは限りません。

ネットワークエンジニアが日常的に使うツール

特別なソフトは使いません。むしろ、どの現場でも同じ数種類を毎日使います。前職でExcelを使い慣れている人は、その時点で入社直後から手伝える仕事があります。

用途 使うもの 解説記事
機器への接続とログ保存 Tera Term Tera Termの使い方
変更前後のconfig比較 WinMerge WinMergeでconfigを比較する方法
作業証跡のスクリーンショット WinShot WinShotの使い方
設計書・パラメータ表・試験表 Excel、Word ネットワークエンジニアのExcel実務
検証・学習環境 実機、GNS3、EVE-NG、Packet Tracer ネットワーク検証環境の作り方
試験・調査ツール全般 用途別に14種 ネットワークエンジニア必須の検証ツール14選
ネットワークエンジニア必須の検証ツール14選!

案件によっては検証環境そのものがありません。本番機と同じ機種が用意できない、ライセンス費用が出ない、そもそも工期に検証期間が入っていない——理由はさまざまですが、結果として「試さずに本番へ入れる」状況が生まれます。そのときに何を代わりにするかは検証環境がないネットワーク案件は危険かで扱っています。

未経験・初心者がつまずくところ

ネットワークエンジニア初心者が注意されがちなこと

技術そのものよりも、仕事の進め方でつまずくことのほうが多いです。特に多いのが次の3つです。

調べた範囲を添えずに質問してしまう。「Pingが通らないです」とだけ相談するのと、「ここまでは通信できているのですが、その先が分かりません」と相談するのでは、受け取られ方がまったく違います。前者は丸投げに見え、後者は切り分けの途中経過として扱われます。

修正の意図を聞き忘れる。設計書の修正を頼まれて、修正箇所は聞いたけれど「なぜ直すのか」を聞かなかった。聞き直すのが気まずくて言われた部分だけ直し、結果として別の箇所と矛盾する——これは本当によくある失敗です。

用語の読み方が分からず、会話に入れない。これは笑い話のようですが、初日にわりと効きます。ネットワーク用語の読み方一覧で、現場で使われる読み方をまとめてあります。

そのほか注意されやすい点はネットワークエンジニア初心者が注意されることに整理しました。向き不向きが気になる場合はネットワークエンジニアに向いている人の特徴6選も参考になります。

この仕事に就くには

未経験からこの仕事に入る場合、最初は監視や構築補助からになることがほとんどです。そこから設定変更、試験、config作成へ担当を広げていきます。ここまで読んで「切り分けの順番」と「設計構築で作る資料」の中身が想像できるようになっていれば、面接で聞くべきことも見えているはずです。

応募までの具体的な準備と求人の選び方はネットワークエンジニア転職完全ガイドにまとめています。IT実務そのものが未経験なら未経験からネットワークエンジニアへ転職する進め方、資格から入るならネットワークエンジニア転職に有利な資格から読んでください。

すでに運用監視にいて次へ進みたい場合は運用保守から設計構築へ転職する方法、その先の進路はネットワークエンジニアのキャリアパスで扱っています。サーバーやクラウドも含めて職種を比べたい場合はインフラエンジニア転職完全ガイドへどうぞ。

よくある質問

ネットワークエンジニアは毎日コマンドを打っているのですか

工程によります。運用保守なら調査で日常的に打ちますが、設計構築では資料の作成と確認に多くの時間を使い、機器へ触るのは検証と当日作業に集中します。設計に進むとさらに減り、方式を決めて説明する仕事が中心になります。

プログラミングはできないといけませんか

必須ではありません。ただし、設定の一括投入や差分確認を自動化できると作業が速く安全になるため、扱える人は重宝されます。まずはネットワークの基礎と切り分けができることが先です。

資料作成が多いと聞きますが、本当ですか

本当です。設計構築の工程では、体感で資料が7割、機器操作が3割ほどになります。ただしこれは無駄な事務作業ではなく、複数人で同じ構成を作り、本番作業を途中で止めて戻せるようにするための記録です。

設計構築は何年目から任されますか

年数では決まりません。既存configを読んで変更箇所を特定でき、変更手順と切り戻しを書け、試験項目を作れる状態になれば材料は揃っています。逆に、会社側に担当を広げる仕組みがなければ何年いても変わりません。

ネットワークエンジニアとインフラエンジニアは何が違いますか

インフラエンジニアはネットワーク、サーバー、クラウドを含む総称で、ネットワークエンジニアはそのうち通信を担当する職種です。求人では両方の名前が使われるため、職種名ではなく仕事内容と担当工程で判断してください。違いはインフラエンジニア転職完全ガイドで整理しています。

まとめ

ネットワークエンジニアの仕事は、監視、運用保守、設計構築、設計という4つの工程に分かれていて、どこを担当するかで一日の中身がまったく違います。共通しているのは、通信がどこまで正常かを一つずつ確定していく作業と、その判断を他人が再現できる形で残す作業です。

いま職業理解の段階にいるなら、まず「切り分けの順番」を一つ覚えてみてください。物理、VLAN、IP、ARP、経路、通信制御、名前解決の順です。この順番が説明できるようになると、求人票の「設計構築」「障害対応」が何を指しているかが自分で判断できるようになります。

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